「比喩・たとえ話・換言」がおかしい/間違っている ~マンガ「アホガール」の場合
◆概要
【「比喩・たとえ話・換言」がおかしい/間違っている】は「コメディシーン、ギャグ」に関するアイデア。
◆事例研究
◇事例:マンガ「アホガール」(第1巻)
▶1
本作の主人公は、よしこ(女子高生)。
彼女は途方もないアホである。唐突にトンチンカンなことを言い出して友だちを困らせたり、テストで0点を取ったり、しかしなぜか猛烈にポジティブだったり……今日も今日とてアホである。
ある朝のこと。
・Step1:ひょんなことから、校門前で風紀委員長(女子高生、巨乳)の胸を揉み始めたよしこ。
・Step2:風紀委員長は赤面し、抵抗した「ちょっ!」。
・Step3:しかしよしこは止まらない。そのボリュームに驚き、自分のそれと比べてショックを受ける。よしこはうめいた「うっ、うおお!これは……!!」。
・Step4:よしこは引き続き風紀委員長の胸を揉みしだきつつ、叫んだ「一体何!?この重量感!!この弾力!!これはもはやおっぱいと言うより……むしろ……」。
・Step5:……上手い言葉が見つからぬようだ。よしこはふいに振り返り、何事かと様子をうかがっていた通りすがりの男子生徒たちに訊いた「むしろ何!?」。男子生徒たちは困惑する「さっ、さぁ……」。
・Step6:かくして、よしこは延々と胸を揉みつつ絶叫したのだった「何なのー!!」。
▶2
ご注目いただきたいのはStep4-6である。
風紀委員長の豊かな胸に衝撃を受けたよしこ。彼女はその驚きを表現しようとして言葉を探した(Step4)。しかし見つからなかった。だから人に訊いた(Step5)。だがやはり見つからなかった。ゆえに叫んだ「何なのー!!」、と(Step6)。
「『何なのー!!』って、それはこっちが訊きたいよ!お前は何を言いたいんだよ!(笑)」「結局最後まで言葉は見つからないのか(笑)」「最後まで叫ぶしかないってのが、アホのよしこらしくていいなぁ(笑)」と思わず噴き出してしまった読者は少なくないだろう。