相手の言葉を下敷きにして、決めゼリフを作ったり大団円感を醸し出したりする(離れたところにある言葉を下敷きにするver.) ~アニメ「ブルーアーカイブ The Animation」の場合
◆概要
【相手の言葉を下敷きにして、決めゼリフを作ったり大団円感を醸し出したりする(離れたところにある言葉を下敷きにするver.)】は「魅力的なセリフ、会話」を作るためのアイデア。
◆事例研究
◇事例:アニメ「ブルーアーカイブ The Animation」(第2話)
▶1
本作の主要キャラの1人・先生(若い男性)。
第1話、
・Step1:先生はアビドス高校にやってきた。彼の任務は同校の生徒たちをサポートすることだ。
・Step2:先生と生徒たちはすぐに親しくなった。
・Step3:だが、セリカ(生徒の1人)だけは例外だ。彼女は「先生は結局部外者だよ?」「これまで学校の問題は私たちだけで何とかしてきたじゃない!なのに突然やって来た大人にしたがうなんて……」と言って、心を開こうとしない。
・Step4:先生はどうにかして距離を詰めようとする。だが上手くいかない。ついには「しつこいわよ!このストーカー!」と罵られてしまった。
その後いろいろあって、
・Step5:セリカが武装不良集団「ヘルメット団」に誘拐された時のことだ。
・Step6:皆はすぐに救出に向かった。
・Step7:生徒たちはヘルメット団と戦う。一方、荒事はからっきしの先生だが、しかしセリカのことが心配で仕方ないのだろう、彼も最前線に赴き、現場指揮官として活躍した。
・Step8:皆の奮闘の甲斐あって、セリカを無事救出。
・Step9:セリカは驚く「なっ、なんで先生まで!?」。――「『部外者』のくせに……荒事は苦手なくせに……どうしてここにいるの!?どうして危険を冒してまで助けに来てくれたの!?」という意味だろう。
・Step10:セリカの言葉に対して、先生は得意げに言った「だてにストーカーじゃない!」。
・Step11:セリカは叫ぶ「何よそれ!こんな時にふざけないでよ。……バッカじゃないの!?」――いわゆる「ツンデレ」である。
その後、
・Step12:皆は力を合わせてヘルメット団を撃退した。
・Step13:また、これを機にセリカは先生に心を開くようになったのだった。めでたしめでたし。
▶2
ご注目いただきたいのは、「だてにストーカーじゃない!」という先生のセリフである。
これはセリカの「しつこいわよ!このストーカー!」を踏まえたものであって、相手の言葉を下敷きにしたことで格好いい決めゼリフになったといえるだろう。また、物語にまとまりが生まれ、大団円感を醸し出すことにも成功している。
もしもセリカの「しつこいわよ!このストーカー!」という言葉がなかったら、もしくは、先生がセリカの言葉とは無関係のセリフを言っていたら、こうはいくまい。