みんな狂うよね、人類滅亡の前ってさ!!|『ディープ・インパクト』(3)
テーマ発表!!
第1回、第2回に引き続き、映画「ディープ・インパクト」をベースに新しい物語を妄想します。
※「ディープ・インパクト」のストーリーなどについては、第1回の記事をご参照ください。
妄想開始!
嘉村 「ディープ・インパクト」は、「巨大彗星の衝突による人類滅亡の危機」を①アメリカ大統領、②宇宙飛行士、③ニュースキャスター、④高校生の4つの視点から描いた群像劇ですが、「設定を思いっきり変えても面白くなるのでは?」ということで……前回に引き続き、一体どんな物語にするといいかディスカッションしてまいりましょう!
三葉 承知しました。
嘉村 前回ご紹介したのは、「『ディープ・インパクト』 ~『日本に関する間違ったイメージ』編~」、「『ディープ・インパクト』 ~『もしも彗星が1000個に分裂したら?』編~」の2案でした。
案③
嘉村 「案③」にまいりましょう!
三葉 「案③」は、「『ディープ・インパクト』 ~『狂人』編~」です。
嘉村 狂人!
三葉 詳細をご説明する前に、まずは「ディープ・インパクト」風の物語を作る時に注意すべきポイントを振り返っておきましょう。
三葉 ……となります(より詳しくは第1回の記事で)。
嘉村 ふむふむ。
三葉 さて「案③」に戻りまして……「ディープ・インパクト」は人類滅亡の危機を描いた作品です。
嘉村 ええ。
三葉 ストーリーを振り返ってみると……ある日、アメリカ大統領が記者会見を開き、「1年後、巨大彗星が地球に落下する」と発表する。寝耳に水です。マスコミも国民も驚愕する。しかし、大統領は自信満々に「でも大丈夫!宇宙船で彗星をぶっ壊すから!!」と宣言。一同ホッと胸を撫で下す。ところが……それから半年経って、「ごめん!ミスった!!」と続報。大統領は額に汗をにじませて、「まだ策はあるけど……結構ヤバいかもしれん」。
嘉村 ふむ。
三葉 じつにショッキングな発表ですよね。「ディープ・インパクト」に狂人は登場しませんが……正気を保てず、気が触れる人がいても不思議ではないと思うんですよ。
嘉村 確かに。というか寧ろ、「隕石?へぇ、そうですか」とすんなり受け入れられる方が異常な気がしますね。
三葉 そうそう!
嘉村 ふむ。
三葉 例えば……「がっこうぐらし!」。
三葉 これは、ゾンビパニックを描いた作品です。世界はすでに荒廃し、人類の大半はゾンビ化するか、あるいは死んでいる。しかし主人公・由紀は、「愉快な友だちと共に、明るく楽しい学校生活を送っている」と思っている。……そう。彼女は現実を受け入れられず、妄想の世界で生きているのです。
嘉村 ええ。アニメ第1話は随分話題になりましたよね。
三葉 由紀は次第に正気を取り戻し、過酷な現実を受け入れるようになりますが……「『ディープ・インパクト』風の物語」を作る時にも、「巨大彗星の落下による人類滅亡の危機」を直視できず、妄想の世界で生きるようになるキャラを登場させると面白くなるのではないかと思うのです。
案④
嘉村 続いて、「案④」にまいりましょう。
三葉 はい。「案④」は「『ディープ・インパクト』 ~『ヤバい宗教』編~」です。
嘉村 今度は宗教!
三葉 「案③」で申し上げた通り……「巨大彗星の落下」は、あまりにもショッキングなニュースです。「人類が滅亡するかもしれない」という現実をすんなり受け入れられる人は少ないでしょう。恐怖や不安に耐えきれない人がいても不思議ではありません。
嘉村 確かに。
三葉 さてそんな時に、「裁きの時が来たのです。あなたも、我らが教祖にすがれば天国に行けますよ」とか、「我が教団の箱舟に乗りませんか?いまなら間に合いますよ」なんて甘い言葉を囁かれたら……?
嘉村 うーむ、ついフラフラっと信じちゃうかも……。
三葉 ですよね!ということで、「『ディープ・インパクト』風の物語」を作る時には、ヤバい宗教がらみのエピソードを盛り込むのも一案だと思うんですよね。
嘉村 なるほど。
三葉 例えば……主人公は若者。巨大彗星が接近する中、彼は久しぶりに帰省する。すると……居間に巨大な偶像!そして、老父が偶像に向かって念仏だか呪文だかを唱えている!
嘉村 おー……。
三葉 呆気にとられる主人公。そこへ老母がやって来る。彼女は満面の笑みを浮かべて、「あら、ちょうどよかったわ。あんたの分も偶像を買っておいたのよ。この像があれば、○○様のお力を分けていただけるの。あと、壺とお数珠もあるからね」。
嘉村 完全にカモにされてますね……。
三葉 主人公は両親と話し合うが、ダメ。どれほど言葉を尽そうとも、両親は聞く耳を持たない。最早洗脳されていると言えるでしょう。彼は教団に抗議したり、警察に相談したりしますが……やがて、考えを改める。
嘉村 ほぉ。
三葉 すなわち……最期の時を心安らかに過ごせるなら、それが何よりではないか。「真実」だの「洗脳」だの、どうでもいいことかもしれない。
嘉村 ふーむ、一理ありますね。老親にとっては、教祖・教団こそが真実なのですから。
三葉 ええ。かくして主人公は、最後の親孝行としてその宗教に入信し、「じつにアホらしい」と思いながらも偶像を崇めたり、教祖を拝んだりして、彗星落下の日を迎える。
嘉村 なるほど。
三葉 「ディープ・インパクト」では、ジェニーというキャラを通じて「親子の絆」が描かれています。それに対して……いま申し上げたように、宗教を通じて「親子の絆」を描くこともできると思うんですよね。
嘉村 ふむふむ。
三葉 あるいは、同じ宗教がらみのエピソードでも……主人公を警察や自衛隊の一員にしてみましょう。
嘉村 ほぉ。
三葉 ヤバい宗教団体がテロ、もしくは集団自殺を図ろうとしているという情報を得て、主人公らは治安維持のために出動する。彼らは、文字通り狂信的な信者、そして教祖と対峙するわけですが……その時、主人公は想うんですね。「人類滅亡の危機に直面したいま、すべてをかなぐり捨てて心の平安を得ようとする彼らと、いつも通り仕事をこなすオレ……どちらがまともな人間なのだろう?」と。
嘉村 なるほど……なかなか深いテーマですね。
三葉 ええ。とまぁ以上申し上げた通り、「『ディープ・インパクト』風物語」を作る時には、「狂気」や「ヤバい宗教」をモチーフにしたエピソードを盛り込むのも面白くなると思うのです。よろしければご参考ください!
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「ディープ・インパクト」の研究はこれで終了です。ありがとうございました。
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最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。
(担当:三葉)