おかしな「喜び・歓喜」 ~アニメ「げんしけん」の場合
◆概要
【おかしな「喜び・歓喜」】は「コメディシーン、ギャグ」に関するアイデア。
◆事例研究
◇事例:アニメ「げんしけん」(第3話)
▶1
本作の主人公は笹原(大学1年生の男性)。
彼は、アニメやゲームを愛する典型的なオタクである。
夏。
笹原は生まれて初めてコミフェス(≒コミケ)に参加した。
・Step1:1人で会場を歩き回る笹原。ぱらぱらと同人誌をめくり中身をチェックするオタクたちを見て、彼は心の中で声を上げた「おぉ!皆、中身を確認してから買ってるよ!やっぱりアリなんだ」。
・Step2:笹原もオタクたちに交じって同人誌を吟味し始めた。彼はじつに嬉しそうに心の中で語る「いやぁ、もちろん大歓迎ですけどねぇ❤同人ショップじゃ見れないのも多いし❤まぁ、ハズれても誰を恨むわけじゃないけどね!」(「同人ショップでは中身を確認できず、表紙やタイトルのみで購入如何を判断しなければならないことが多い」という意味。一方コミフェスでは中身を確認し放題。笹原はそれに感激しているのだ)。
・Step3:直後、笹原は苦笑した「嗚呼、心の中でしゃべりまくる俺!」。
・Step4:と、その時だった。彼は自分好みのエッチなイラストが描かれた同人誌を発見。鼻の下が伸びる。顔がだらしなく緩む「ん~❤」。彼は言った「これください!」。
・Step5:笹原は金を支払いながら心の中で叫んだ「嗚呼、ごめんなさいご先祖様!今年は墓参りにも行かず、こんなところに来ています!!」。
▶2
笹原は朴訥な印象の青年である。いつも穏やか。他人を支えることに喜びを見出すタイプと言っていいだろう。「俺が、俺が」とやかましく自己主張するタイプではない。
ところが上述のシーンでは……この饒舌っぷりである!普段とのギャップがはなはだしいことこの上ない。
「こいつ、心の中でしゃべりまくるな(笑)」「どれだけ興奮しているんだよ!(笑)」「自分が饒舌になっていることを自覚しつつも独りごちが止まらないって……まさに浮かれてるなぁ(笑)」と思わず笑ってしまった鑑賞者は少なくないだろう。