「○○ってお前のことかよ!」式のストーリー構造を考える|100%空気通信
「100%空気通信」は、クリエイティブ・ユニット「100%エア」の活動レポートです。
今回のテーマ
今回取り上げるのは、短編コメディ小説「寿司の出前を頼んだのに全然来ないんだけどwww」。
作者自身が、「作品の構造」や「ギャグの狙い」をご説明します。
今後、コメディ作品、ギャグ作品を創作する際のヒントになれば幸いです!
「寿司の出前を頼んだのに全然来ないんだけどwww」を読んでみよう!
まずは、短編コメディ小説「寿司の出前を頼んだのに全然来ないんだけどwww」をご覧ください。
※想定読了時間:5分
※注:「100%エア」のnoteや、Twitterに掲載しているものと同内容です。既にご覧いただいている方は読み飛ばしてください。
【トピック①】本作の構造
本作は、「1つのシチュエーションと、それに対する複数のボケ」からなる「大喜利」(正確には「大喜利」の中でも「とんち」)型の作品です。
・ベースとなるシチュエーション:主人公(視点主)が寿司の出前を注文するが、指定時間を1時間過ぎてもまだ来ない。ようやく来た出前のおにいちゃんに遅刻の理由を訊くと……予想外の言葉(= ボケ!)が返ってきた。
・ボケのパターン:7種類(パターン1~7)
【トピック②】「○○ってお前のことかよ!」式のストーリー構造とは何か?
今回ご注目いただきたいのは、「あんたがノロか!」(パターン1)です。
出前がノロウイルスで倒れたと聞き、「その人は大丈夫なんですか?」と心配する主人公。
それに対して、出前のおにいちゃんは「はい、おかげさまで!何とかここまで来れたので大丈夫だと思います」。
つまり、「語り手(出前のおにいちゃん)=ノロで倒れた出前」というオチです。
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ところで、この「『お前が○○かよ!』式のストーリー構造」は、古今東西様々な作品(小説、映画etc.)に採用されています。
特に顕著なのは、「ミステリ」でしょう。
「物語の視点主(語り手)こそが犯人」式の作品(「探偵 = 犯人」もの)は、「叙述トリック」の一形態としてよく知られています。
なお、このトリックが使用された作品で最も有名なのは、アガサ・クリスティの「アクロイド殺し」でしょうか。
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また、この「構造」は「ラブコメ作品」でもしばしば見かけます。
典型的なのは、以下のようなストーリーです。
女「私、モテないから……」
男「そんなことないよ!お前のことを好きなやつもいるさ!」
女「慰めてくれなくていいんだよ……」
男「本当だよ!……例えばオレとかさ!」
女「えっ!(キュン)」
これは「『お前のことを好きなやつ』 = 男」という点で、「『お前が○○かよ!』式のストーリー構造」と言えるでしょう。
面を1発、2発と引っ叩いてやりたくなるようなベタベタな展開ですが、私たちが「なんてベタなんだ!」と感じるほどに、この「構造」が人口に膾炙しているわけです。
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あるいは、この「構造」は「ホラー作品」でもよく見かけます。
例えばゾンビパニック映画で……1人の男がシェルターに逃げ込む。
シェルターの女「よく無事だったわね!歓迎するわ。ようこそ、人類の希望の地へ!」
男「……」
シェルターの女「ここに来るまでに、やつらを見かけなかった?」
男「……」
シェルターの女「ねぇ、どうしたの?さっきから黙って……」
で、振り返るとその男がゾンビ化しており、ガブリと噛みつかれる……なんて具合です。
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以上、「『お前が○○かよ!』式のストーリー構造」が様々なジャンルで採用されていることを確認してきました。
そして、今回ご覧いただいた「パターン1」は、この「構造」を用いたギャグ作品です。
……じつはこの「構造」、ギャグと相性がいいのです。
例えば上述のラブコメ作品の例を思い返していただくと……「本当だよ!……例えばオレとかさ!」という男のセリフのあとに、女が「お前かよ!お前が好きなのかよ!!」とツッコめば、これはもう立派なギャグシーンと言えるでしょう。
ゾンビパニック映画も同様です。
男がゾンビ化し、それを見た女が「WOW!お前がゾンビかよ!!」とツッコめば、一気にコメディ作品と化すでしょう。
みなさんがギャグ作品を作る時に、あるいは「ちょっとここらでひと笑いほしいな」と思った時に、「『お前が○○かよ!』式のストーリー構造」が使えないかぜひ検討してみてください!
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最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。
(担当:三葉)
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