社畜よ!とある1日をループして、ブラック企業を改善せよ!!|『恋はデジャ・ブ』(3)
テーマ発表!!
第1回、第2回に引き続き、映画「恋はデジャ・ブ」をベースに新しい物語を妄想します。
※「恋はデジャ・ブ」のストーリーなどについては、第1回の記事をご参照ください。
妄想開始!
嘉村 「恋はデジャ・ブ」は、とある1日を何百回、何千回とループすることになった男の「混乱」と「成長」を描いたコメディ作品ですが、「設定を思いっきり変えても面白くなるのでは?」ということで……前回に引き続き、一体どんな物語にするといいかディスカッションしてまいりましょう!
三葉 承知しました。
嘉村 前回ご紹介したのは、「とある1日を何百回、何千回とループすることになった百合JKが、片想いの相手に好かれようと奮闘するなどして成長を遂げる物語」、「とある1日を何百回、何千回とループすることになったダメ教師が、不良生徒に復讐を果たそうと奮闘するなどして成長を遂げる物語」の2案でした。
案③
嘉村 「案③」にまいりましょう!
三葉 「案③」は、「とある1日を何百回、何千回とループすることになった社畜が、残業をなくすべく奮闘するなどして成長を遂げる物語」です。
嘉村 社畜!
三葉 さて詳細をご説明する前に、ここで「恋はデジャ・ブ」風の物語を作る時に注意すべきポイントを振り返っておきましょう。
三葉 ……となります(より詳しくは第1回の記事で)。
嘉村 ふむ。
三葉 では「案③」に戻りまして……主人公は社畜。毎日終電まで働くのが常態化したブラック企業に勤めており、心身ともに疲弊しきっている。そんな彼が、ある日ふいにループに巻き込まれ、同じ1日を何百回、何千回と繰り返すことになります。
嘉村 ふむふむ。
三葉 初めは混乱し、「狂ってしまったのではないだろうか!?」と不安に駆られる主人公。家族や親しい同僚に相談するが、信じてもらえない。意を決して病院に行くが、特に異常は見当たらないとのこと。
嘉村 なるほど。
三葉 間もなく、彼は自暴自棄になる。何をしようが24時間経てばリセットされ、また同じ1日が始まるのです。やりたい放題やってやろうと考えるのも無理ないでしょう。彼は、いつもパワハラしてくる上司をぶん殴る!役立たずで足を引っ張ってばかりの部下を蹴とばす!無茶ばかり言う顧客企業にいたずらメールを送り付ける!
嘉村 仕事関係ばかりというのが何だか悲しいですねぇ……。
三葉 しかし、間もなく虚しくなる。
嘉村 でしょうねぇ……。
三葉 彼は以前から、隣の部署の後輩(以下、A子)に好意を持っていたのですが……A子から愛されたいと願うようになります。度重なるループに疲れてきった彼は、無理に欲望を満たすのではなく、普通に愛し、普通に愛されることを願ったのです。
嘉村 なるほど。
三葉 彼は何度もループを繰り返しながら、A子の好みを学び、例えば彼女の趣味がフランス映画だと知れば、フランス映画を片っ端から鑑賞するなどして、徐々に彼女と親しくなっていく。
嘉村 ふむ。
三葉 ……が、しかし!何度やっても、いい雰囲気止まり。恋人にはなれない。彼は絶望し、自殺を決意する。
嘉村 ところが……。
三葉 ええ。たとえ死んでも、24時間経過するとすべてはリセットされ、また同じ1日が始まる。彼には死すら許されていないのです。最早彼には、夢も希望もない。何もない……のだが、ここに至って彼は考えを改めます。「ブラック企業に属しながらも、明るく朗らかなA子の傍にいたから」、「彼女に近づこうとしてフランス映画などに触れ、教養を深めたから」、そして「何度もループを繰り返すことで、職場の人たちに親しみを感じるようになったから」といった理由で、彼は職場環境を改善しようと決意するのです。
嘉村 ほぉ!
三葉 「一体なぜ残業が絶えないのか?」「そもそもどこに原因があるのか?」「上司か?部下か?顧客企業か?……まさかオレ自身か?」といった問いを立て、時には経営学や会計学なども学びつつ、ブラックな職場の原因と思われるアレコレを1つずつ潰していく。
嘉村 ふむふむ。
三葉 職場環境を改善するということは、これまでの慣習を変えるということです。時には、上司や顧客企業から嫌な顔をされることもある。しかし彼は諦めず、全員にとってよりよい解決策を探っていく。
嘉村 ふむ。
三葉 そしてついに会社から残業が消え、ブラック企業の汚名を返上した時……また、彼が上司からも部下からも、そしてA子からも愛され、感謝されるようになった時……ふいにループが解け、物語は幕を閉じます。
嘉村 なるほど。
三葉 さてそれでは、以上のストーリーを「恋はデジャ・ブ」と比較する形で整理してみましょう。
三葉 ご覧の通り、「案③」の設定やストーリーは「恋はデジャ・ブ」と同じです。ただ、物語の舞台や主人公を大きく変えたことで、「恋はデジャ・ブ」とはまた違うユニークな物語になったと言えるのではないでしょうか。
案④
嘉村 続いて、「案④」にまいりましょう。
三葉 はい。「案④」は、「とある1日を何百回、何千回とループすることになった魔法少女が、悪を滅ぼす最強魔法を身につけようと奮闘するなどして成長を遂げる物語」です。
嘉村 今度は魔法少女!
三葉 ええ。まずは、「恋はデジャ・ブ」との対比表をご覧ください。
嘉村 ふむふむ。
三葉 ストーリーをご紹介しましょう。……主人公は魔法少女。彼女は仲間と協力して、日々悪の組織と戦っている。「美少女戦士セーラームーン」や「プリキュア」、あるいは「魔法少女まどか☆マギカ」のようなタイプの作品をご想像ください。
三葉 そんな彼女が、ある日ループに巻き込まれ、同じ1日を何度も繰り返すことになります。
嘉村 ふむふむ。
三葉 初めは、「混乱・恐怖」期。次いで、「自暴自棄」期。
嘉村 ええ。
三葉 続いて、「恋はデジャ・ブ」や「案③」では、「意中の人の愛を得ようとする」期になるのですが……まったく同じでは面白くありません。「案④」では、「『悪の組織を殲滅しようとする』期」ということにしましょう。
嘉村 ほぉ。
三葉 彼女は特訓を積み、必殺技を磨く。そして仲間が呆気にとられるほど強大な力を得て、まるで八つ当たりするかの如く敵をぶち殺していく。しかしそれでも……ループは終わらない。
嘉村 ふむ。
三葉 彼女はいよいよ虚しくなり、自殺を試みる。しかし24時間経てばすべてはリセットされ、彼女の死もなかったことになる。
嘉村 ふむふむ。
三葉 やがて、彼女は想う「戦いは虚しい」。労せずして敵を全滅させるほどの力を得たからこその結論です「敵だの何だの、ほんっとバカみたい」。こうして彼女は、「悪の組織との共存」を模索するようになります。
嘉村 ふむ。
三葉 「そもそも彼らは何を望んでいるのだろうか?」「話し合いの余地はないのだろうか?」……彼女は何度もループを繰り返しながら、敵味方双方の言い分に耳を傾け、調整を重ね、時には苛立ちつつも、やがて全員が納得できる妥協点を見つけます。そしてその時……ふいにループが終わり、物語も幕を閉じる。
嘉村 なるほど。
三葉 以上、「恋はデジャ・ブ」風の物語のアイデアをご紹介しました!
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「恋はデジャ・ブ」の研究はこれで終了です。ありがとうございました。
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最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。
(担当:三葉)