<温和で優しい糸目キャラの恐るべき本性が明らかになるエピソード>を描こう!!|アニメ「侵略!イカ娘」に学ぶ
※本記事では、アニメ「侵略!イカ娘」(第1期)を分析します。
分析対象
三幕構成
まずは、エピソード全体を三幕構成の視点で整理してみましょう。
※補足:「三幕構成」を詳しく知りたい方は、こちらの記事をどうぞ👽 → シド・フィールドの「三幕構成」をバッチリ説明するぜ!!
これは<温和で優しいキャラの恐るべき本性が明らかになるエピソード>である!
さて、このエピソード。ざっくりまとめると、
・STEP1:千鶴(栄子とたけるの姉)は、いつも温和で優しい。イカ娘は<千鶴 = 栄子やたけると違って大人しい奴>と認識していた
・STEP2:しかし実際には、メンタルもフィジカルも化け物だった!
……と整理できるでしょう。
つまり、<温和で優しいキャラの恐るべき本性が明らかになるエピソード>ですね。
本当は恐ろしい糸目キャラ
ところで。
千鶴は普段糸目なのですが……アニメやマンガの世界には、【いつも温和で優しいが、実際には常人離れした能力者だったり、腹黒キャラだったりする糸目キャラ】っていますよね。
例えばパッと思いつくところでは……
・「ダンベル何キロ持てる?」の呉先生
・「あんハピ♪」の小平先生
男性キャラなら……
・「HUNTER×HUNTER」のレイザー
・「黒執事」の劉
・「テニプリ」の不二周助
千鶴は、彼らと同タイプのキャラと言えるでしょう。
つまり本話は、<温和で優しい糸目キャラの恐るべき本性が明らかになるエピソード>なのです。
【工夫・仕掛け①】<千鶴の化け物っぷり>は1つのみならず、2つ、3つと描かれている
<1>
ここからは、本話に施されている工夫・仕掛けに注目します。
最初に取り上げるのは、【<千鶴の化け物っぷり>が1つのみならず、2つ、3つと描かれている】という点。
<2>
まずは、<千鶴の化け物っぷり>を列挙してみましょう。
▶化け物ポイント1:動じない
イカ娘に突如イカスミをぶっかけられた時のことです。
栄子は慌てふためいた。一方、千鶴は……ちっとも動じない!平然としている。この落ち着きっぷりはただごとではない!
▶化け物ポイント2:感性や倫理観が常人とは異なる
千鶴はイカ娘が吐いたイタスミを舐め、さらにそれを使ってイカスミスパゲティを作りました。一切躊躇することなしに!
一方栄子は「イカ娘が吐いたイカスミなんて食えるか!気色悪い!」と叫ぶ……まぁ、これが普通の反応ですよね。
では、なぜ栄子はかくも<奇行>に走ったのか?理由を考えてみると……
・推測1:千鶴の<感覚(何に生理的な嫌悪感を覚えるかという基準)>が、常人のそれとは解離しているから
・推測2:千鶴は、イカ娘を<自分と同格のもの>とは認識していないから。そもそも栄子や私たち鑑賞者がイカ娘の吐いたイカスミを気持ち悪いと感じるのは、イカ娘を<自分と同格のもの ≒ 人間>と認識しているからでしょう。しかしイカ娘を<ただのイカ>と見なせば、それは何の変哲もないイカスミ。抵抗なく食べられるはずです
また、
・そのイカスミを使ったイカスミスパゲティを、事情を知らぬ客に提供する
・イカ娘がやつれるまで酷使する
……といった辺りからも、千鶴の感性や倫理観が私たち常人のそれとはズレていることが伝わってきます。
▶化け物ポイント3:異常な身体能力
イカ娘との戦闘シーンでは、千鶴は常人離れした身体能力を披露しました。
<3>
とまぁご覧の通り、<千鶴の化け物っぷり>にはバリエーションがあるわけですが……このバリエーションが重要だと思うんですよ。
だって、だからこそ私たち鑑賞者は飽きることなく最後まで楽しめるのですから。
もしもバリエーションがなく、例えば<千鶴 = 異常な身体能力の持ち主>だけだとしたら、どうしたって物語は単調になり、途中で飽きてしまう懸念があります。
【工夫・仕掛け②】千鶴が化け物っぷりを発揮すると、その直後、栄子やイカ娘が必ずリアクションを取る
<1>
もう1つ。
【千鶴が化け物っぷりを発揮すると、その直後、栄子やイカ娘が必ずリアクションを取る】という点も注目に値します。
<リアクション>というのは、仰天して叫ぶ、顔を青くする、怯えて泣くなどですが……こうしたリアクションがあるからこそ、私たち鑑賞者は「千鶴はヤバい奴なんだな」と容易く理解し、気兼ねなく笑うことができるのです。
では、もしもリアクションがなかったら?
「ん?結局千鶴は常人離れしたキャラなの?それとも、ギャグ作品特有の誇張表現?」「えっ?いまのシーンは笑うところ?何か気色悪いんだけど……」などと困惑してしまう人も少なくないと思うんですよね。
まとめ
ここまで申し上げてきたことをまとめると、<温和で優しい糸目キャラの恐るべき本性が明らかになるエピソード>を描く時には……
・POINT1:そのキャラの化け物っぷりは、1つのみならず、2つ、3つと描くべし
・POINT2:そのキャラの言動に仰天したり、怯えたりする<リアクションキャラ>を登場させるべし
ぜひ参考にしてみてくださいねー!!
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(担当:三葉)
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