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本のお勧め5選 歴史的社会問題を学ぶ
こんにちは☺️✨
読書が趣味で2024年は180冊読了した、無職のなかです📚️
毎回テーマごとにお勧め本を紹介していきます。今回のテーマは歴史的社会問題編です。歴史から学ぶことは大切だと思いますが、個人的にはあまり得意な分野ではありません。読んでいて感情を揺さぶられるし、どうしても重くて暗い印象を受けます。でも、学んでよかった。そんな本を詳細な感想とともにご紹介します。私は全部を褒めず、正直にレビューしています。
忙しい皆さんの代わりに読んだ気で書いてます。関連作品も紹介し、少しだけネタバレ的な部分もあるかもしれません。嫌な方は読まないで頂ければと思います🙇♀️今回は比較的長文記事。
【公害】苦海浄土
綺麗な海が汚染され、港は船の墓場と化した。漁師たちは自分の仕事も身体の自由も失う。産業と雇用の発展をもたらした会社は公害をも運んできた。チッソの杜撰な対応。魚が売れなくなることを恐れた一部の漁師による水俣病の隠蔽。そして新潟水俣病の発生。過ちは繰り返される。
私は新潟県出身なのに、水俣病について何も知りませんでした。去年、熊本を旅した際に読もうと思い、帰宅後に読んだ1冊。私は魚食が多いので、水害って怖いなと思い読みました。今もマイクロプラスチックが問題ですよね。
『苦海浄土』はよく読み難いと言われる。私は方言の部分はなんとなく意味が分かったけど、それより医学用語が多かったり和暦西暦が混在していて混乱した。確かに読みやすくはないな。無職でなければ読まなかった。まあ今は100分de名著とかもあるもんね。
一時期の水俣市長がチッソ関係者なのは知らなかった。患者発生から15年の時を経て認定、補償交渉への一歩。市に財源と患者への支出の原因をもたらしたチッソ。患者以外の市民による「チッソが潰れる 市が潰れる」と言う患者への非難と迫害。作中には、この地域の昔の生贄話、信仰、身売り、戦争前後の話も少し。
主婦だった著者の石牟礼さんの使命感には読んでいて圧倒される。聞き書ではないのも初めて知った。なるほど、憑依してる。まあこの世の物は他人の目を借りた時点で全て創作だよね。そしてコロナ禍の時もだけど、医療関係者の方々の不安とやるせなさを思うと言葉にし難い気持ちになる。
【キリスト教弾圧】沈黙
これも長崎旅行後に読みたくなった1冊。私が思ってた以上に、長崎はキリスト教にとって重要な拠点なんだと感じたから。しかも私、宗教に無知だから読もうと思った。
本文で度々登場するタイトル、緻密に計算された登場人物や語り方。400年前にタイムスリップしたかのよう。著者の読者へ主題を考えさせ続ける熱量が伺える。「神は本当にいるのか。」いるなら何故黙っているのか。起承転結の結が私的に3回くらいあった。信仰とは内面で完結できるのか。それとも、儀式や継承が重要なのか。
読み始めると、続きが気になってページをめくる手が止まらなかった。でも私は無知だから、この本だけではもちろん宗教について理解は出来ない。映像化もされていて、考えさせられる作品ではある。
【原爆】はだしのゲン
こちらも有名ですね。著者は『はだしのゲン』を描く以前は差別の視線もあり、原爆については語らなかった。しかし、唯一の生き残った家族である母の死に直面。火葬した際、放射能のため遺骨すら残らなかった。この出来事をキッカケに、著者は憤りをあらわにし、原爆と向き合い始める。言わずも知れた、中沢さんの人生をかけた渾身の作品だと思います。
昨今、「家族のために鯉を盗む内容が教育上不適切」とされたり、時代背景などの説明の難しさを理由に教科書からも姿を消していますね。色々な論争があると思います。
私は原爆資料館にも行き、『黒い雨』や映画『オッペンハイマー』なども観ましたが、本作が1番わかりやすかったですね。
原爆という重い内容ではあるものの、ゲンは心底明るい少年であり、読み進められる。やはり絵があるとイメージしやすく、読みやすさの要因だと思います。10巻もありますが、原爆を知る一歩としてはおすすめの作品です。
ちなみに映画『オッペンハイマー』は原爆をアメリカ側からの視点で描いた作品です。主人公は原爆の父、開発者であるオッペンハイマー。ユダヤ系アメリカ人の方です。私はこの時代の社会情勢や世界史の知識が乏しく、難しい作品でした。映画の描き方も二重でストーリーが展開されるので初見では追いつけなかった。物理を極めれば面白そうだけど、祖国と平和のためにどこまで正当化できるのか。しかし、原爆が落ちたために戦争が終わったのは事実ではないでしょうか。かと言って、容認や肯定は難しい。
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【強制収容所】夜と霧
心理学者が語る、強制収容所の実体験。一文が長く句読点が多いから最初は慣れなかった。カポー、恩赦妄想、どんな悪夢さえも現実以上の悪夢ではなくなる。感情について本当に細かく記載されている。
収容所、病気で死ぬ最後に「運命に感謝してる」と言って亡くなった方が印象深い。精神的・身体的制限をかけられた時の尊い精神、病は気から、苦しみ尽くすこと。人はグループ化をしたがり、主語を大きくしたがるが、そうじゃない。収容所監視者の中にも善意の者はいた。訳者のあとがきも良かった。
子供の頃に恐らく読んだ『アンネの日記』もまた読みたくなりました。私はまだ鑑賞出来ていないですが、映画『関心領域』も興味深いですね。『ライフ・イズ・ ビューティフル』も久しぶりに観たくなりました。
【民主化抗争】少年が来る
最後は今話題のこちら。ノーベル文学賞を受賞された、ハン・ガンさん。お隣の国、韓国で実際に起きた民主化抗争を描いています。しかもこれ、なんとまだ44年前。最近過ぎる。
詩的な出だしからは想像出来ないような事件が読み進めると顔を出す。章ごとに変わる主人公たち、それぞれの視点。光州事件、軍により命を落とした学生たち。死者と遺された者たち。一読目、書いてある内容があまりにも残忍で、脳が読むことを拒絶しそうになる。何気ない毎日を享受してしまっている私に出来ることとは。
私はこの事件についても無知であったため、少し難しかったです。関連映画などはこれから見つけていこうと思います。
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