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2020年の日記集:偶然が舞い込む余白

10月9日

明日、10/10でkenohiはオープン1年半を迎える。
半年、なんて数えるのは初めのうちだけだろうな。

4月に1周年を迎えてからの半年間の生活を、振り返ってみる。

4月。緊急事態宣言が出たので周年記念のイベントを中止した。
お弁当やお菓子のテイクアウトを始めてバタバタしていた。
キッチハイクの支援チケットもたくさん買っていただいた。
先行きが見えないながらも「存続させるぞ」という気持ちから、かなりアドレナリンが出ていたと思う。

5月、疲れ果てていた。 4月の無理が祟ったのか、2回も扁桃炎になった。
立ち止まり、これからのkenohiの運営についてゆっくり考えた1ヶ月。

6月。週休を1日増やして2日にした。
「やります!」と宣言したことを沢山放置していたけれど、そのまま。
無理をしないと決めた。「今は良いんだ、こういう時期もある。いずれ止めてもやりたくなるくらい。やる気が出る」と自分を信じて、許すことにする。

7月。平和に過ごす。 2日間のお休みも、ほぼ丸2日家でダラダラと。
お店は有難いことに、6月から安定していたので不安はなかった。
営業日が減ったことによってジワジワ売上が減っていたけれど、助成金や昨年の利益があったので、焦る必要はなかった。

8月。自宅の引越でバタバタ。動いているうちに、活力も戻ってきた。会いたい人に会い、紹介された人と話し、刺激を受けた1ヶ月。
「シーナと一平」(東京の椎名町にあるゲストハウス)の店長さんとお話したのも8月。みんな色々あるけど、変化して適応している。

9月。動き出した。 思えばこの半年は沢山本を読んだ。小説が多かった。心を落ち着けたかったのかもしれない。それで、ようやく落ち着いてやり残していたインタビュー記事の推敲を完了、公開した。

10月、現在。
月2回ほど、静かなイベントをやろうと決めた。

なんだか、あっという間の半年だった。こんなに変化することなく、同じ日常を繰り返したのははじめてかもしれない。

「変えたほうがいいかも」
「あれをやってみよう、これをやってみよう」

思えば去年はずっと試行錯誤していた。
映画鑑賞会、アコースティックライブ、たくさんの新作お菓子、プリンアラモードのイベント。
「変え続ける」「変わり続ける」が基本になっていた。

だから、この半年はちょっぴり怖かった。停滞しているんじゃないか、サボっているんじゃないか…。

待て待て。 自分は何を目指しているんだ。何をしたかったんだ。
そんな風に自分を立ち止まらせてくれたのは、いつもお客さんだった。

「あ、これでいいんだ」

いつも通りのkenohi、いつも通りの定食。それを求めて、変わらず通い続けてくれる人達を見て、無理する必要はないと思えた。

変化は、手段であって目的ではない。

毎日を、一瞬一瞬、今この瞬間を楽しく過ごして「今日も良い一日だったなあ」と、帰り道やお風呂、お布団の中で思って眠る。 それがしたくてkenohiを作ったのだ。

なのに、不安を先取りしたり、大きな目標から逆算して考えたりしてしまう。大丈夫、心配性の私は放っておいても ある程度は考えてしまうんだから多少サボってもいい。立派に見えなくてもいい。明確なキャリアプランなどない。

大丈夫、お客さんたちと確かな関係性を築くこと。
それこそが、お金よりも何よりも大切な資産。助けてくれる人、応援してくれる人、興味を持ってくれる人。そういう人たちがいたら、なんでもできそうだ。

(滅多にそんなことはしないのだけれど)困っていたお客さん同士をつなげて、動画制作が実現した。嬉しい。


ギュウギュウに詰め込むことなく、特別な瞬間が訪れる余白を残すように、 kenohiはいつも通りの日常をお届けしたい。

※この記事は、過去にメンバーシップ内の掲示板に投稿していたものを再編集したものです。暫くは (ほぼ)毎日投稿します。

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