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来し方行く末

白露が降りて
空気の色がだんだんと変わりゆくころ

もぞもぞと
薄がけ布団を手繰り寄せる

そろそろかなあ、と
寝返りを打つ
足先がひんやりと、まだ心地が良いけれど

ゆたんぽを抱く
眠い目を漂わせながら
あの人を幸せに抱きしめるために

ゆたんぽをこしらえる
母がくれた
珊瑚色のボロボロのゆたんぽ

足先は奴のお腹に
いつもの如く、逃げ足が速い
ひや、鼻先が冷たい

今は、甘い匂いのする
柔らかな肌の香り
鼻先をころころとくすぐる

ゆたんぽ
今じゃ、君がゆたんぽ

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