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【詩】お布団草子

冬はつとめて
誇り高き古の
恋文を耳飾りに

今日もいそいそと
冷たい氷菓子を
払いつつ

深と
静寂が文をよせる
風が跳ねる

残んの月と
目が合って
にっこり笑みを

これだから
冬の朝は困る

明日も早起きしたくなる
珈琲の湯気が眼鏡になって

お布団は
足元に蹴り出されたまま

兎は跳ねたのかしら、と
垂れ絹を上げると

何処かへ
かくれんぼ
随分と恥ずかしがり屋さん

もういいかい?
まだお布団から足先をだして
枕草子を携えて

灯りは瞑ったままで

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