「人殺し」を楽しむ……
今も、世界で繰り広げられる戰や、国内にあっても殺人事件などのニュースに接すると誰でも暗澹たる気分に沈むだろう。
どこの誰に問うても、「人殺し」を喜ぶ人間など皆無のばすと信じたい。
しかし……我々は期せずして、「人殺し」を楽しんでもいるのだ。
ドラマや映画……はたまたアニメに於ても、多くの「人殺し」が繰り広げられている。
戦記モノなどは、大量虐殺もマレではないし、いかに残虐にいかに大量の人間を、よりリアルに殺し続けるか……演出の見せ所なのだ。中には、殺し屋が主役を張ることもあるだろう。
かかる「人殺し」を追放しろとの声もありそうだが……大抵はそんな意見は一笑に付されるに違いない。
当然である。ドラマやアニメでは、誰がいかに無惨に殺されようと、全てフィクショクであり、現実ではないのだから……
しかし、それが「殺し」であることに間違いはない。にも係らず……我々はその「殺し」をポテチを頬ばり、ビールを飲みながら楽しんでいるのだ。いっそ胸をトキメカセテ……
もし、そんな輩を背後から、ちょっと知性のあるネズミが見ていたなら、彼はこう呟くかもしれない。
ああ……人間とはなんと残酷な生き物なのか……
言っておくが……僕はテレビ等から「殺し」を排除せよという偏狭な思い込みに組みするつもりは断じてない。
いかに認めがたくとも、人類には欲望の行き着く先に「殺し」も容認する遺伝子が組み込まれているらしい。
子供の頃……僕は、寝る前の空想として、ライフルを手に、攻め寄せる敵兵を撃ち殺す場面を思い浮かべ……いっそ浮き浮きとして眠りに落ちたものである。
我が敬愛する安部公房にも、似たような経験があると聞いたこともあった。
だからと言って、現実に起こっている戰における「殺し」に浮き浮きすることなどなありえない。
勿論、僕は「人殺し」など無経験だが……もし、本当に誰かを殺したとすれば……それはアニメとは縁もゆかりもない、地獄に違いない。敵兵を撃ち殺し、結果気の触れる兵士がかなりの数に上っているのも事実だろう。
しかし、テクノロジーが進み、「殺し」をパソコン上のゲームとしてしまえば……と考えると恐ろしくなってくる。
実は、昨夜……「鬼滅の刃」の最新シリーズを見始めたのだが……相手が「鬼」とはいえ、無惨に殺されている場面を見ながらチューハイをあおったとたん、ついゾッとして、画像を落してしまった。思えば、戦前「鬼畜米英」という言葉が闊歩していたのだ……
代わって僕は「ささやくように恋を唄う」というアニメに切り替えた。これは女の子同士ながら、「殺し」とは無縁の「恋」の物語である。はっきり言って、面白くないが……
それでも、このアニメを見終えた後……たぶん、僕は猛烈に「殺し」を楽しみたくなって……改めて「鬼滅の刃」の続きが見たくなってくるだろう……
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貧乏人です。創作費用に充てたいので……よろしくお願いいたします。