「スキ」色々……
今日も、noteの記事に目を通しながら……いくつか「スキ」のハートマークに明かりを灯した。
そうは言っても、「スキ」には、色んなニュアンスの幅がありそうである。
僕など間違っても手の出ない「鰻の蒲焼き」の写真と共に、美味かった旨などの感想に触れての「スキ」は、概ね「いいなぁ……」と言った感じの羨望の念が混入している。
楽しそうな集いや、仲間との交流の様などは、「それはよかったね。僕は苦手だけど……」なんて意味あいである。
含蓄のあるエッセイなんぞ読むと、「凄いねぇ!」と賛嘆の気持ちを込めて「スキ」を進呈する。
結婚したとか、子供が産まれたなんて場合には、素直に「あめでとう!」と言いたくて「スキ」を灯す。
が……反面……資格試験に落ちたとか、骨折したとか、体調を崩したとか……そんな記事に対しては、ちょっと「スキ」は付けずらい。
勿論、それなりのコメントを記せばいいのだろうが……落ち込んでいる人に在り来たりの慰めなどは、かえって傷口を逆撫でするのではないかと、つい控えてしまうのだ。
まあ、取りあえずは……「読ませてもらいました……」と言った意味で「スキ」を使ってしまう。
いずれにしても、「スキ」の対象となるのは、自分以外の人間の現状の一断面ということだろう。
要は、他人の生活の一部を、かなり精細に知ることができる時代らしい。特に、ネットが普及してからは尚更と言える。
かっては、他人の生活の様など、簡単に知ることは叶わなかったはずだ。隣近所の人が、どんな生活をしているのか? ……なんて、多くは憶測でしかなかったはずだ。
特に、昭和の時代など……ネットの存在など夢の世界であり……普及し始めた「テレビ」あたりで、自分たち以外の生活を推し量るのがせいぜいだったのだろう。
当時は和製ドラマ以上に、戦勝国であるアメリカの「ホームドラマ」が多く放映されていたという。
まだ貧しかった日本の生活と比較して、アメリカ人の豊かな生活ぶりに憧れを持ったに違いない。
それでも、時は進み……日本も高度成長を踏み渡り、「三種の神器」と言われた冷蔵庫、掃除機、洗濯機を手にいれ、やがて「新・三種の神噐」である「3C(カラーテレビ・クーラー・カー)」で豊かさを実感し始めたようだ。
と同時に、「格差」が一気に広がり始めたのも事実だろう。
持つものと持たざるものの、確執。
「嫉妬」を起爆剤にしての、「不幸」の始まりである。
「不幸」とは何か?
他人との比較から「不幸」は始まる……かく宣った精神分析の巨匠もいたはずである。
……そして今やネットの普及に及んで、人は常に、他人との「比較」を余儀なくされる。
確かに、「鰻の蒲焼き」を美味そうに食している図に出くわすと……自分の今の食卓の「サンマの蒲焼き」との比較に於て、ちょっと「不幸」を感じてしまうのも事実である。
だからと言って、僕は断じて他人の「幸福」を呪うような人間にはなりたくない。
そう、かえって自分を「不幸」に陥れる機縁になってしまうからだ。
そうは言っても、少なからぬ「嫉妬」の概念はなかなか拭い去るのは難しい。
それでも……僕は少しでも自らの「幸福」を祈って、相手の「幸福」を賛美するつもりである。ついては……これからも「スキ」のハートマークに火を灯したいと思う。