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二日酔い
思うに……このところ二日酔いに縁がない。
別に酒を控えているわけでも、突然酒豪になったわけでもない。
大抵はアニメを見ながら、あるいは好きな曲を聞きながら一杯という段取りなのだが、知らないうちに、ここまで見たら一口、ここまで聞いたら一口という一定のリズムが成り立っているようなのだ。結果、飲む量もそこそこに落ち着いて、二日酔いの寄り道を回避しているらしい。
実際……僕はこれまでの人生で「もう酒など飲むものか!」的な二日酔いはあまり経験がない。
たぶん、一人飲みが原則とあって、仲間に勧められたり、合わせたりといった強制から無縁のせいだろう。
事実、学生時代など、ダチとの献酬に於て、二日酔いどころか……酔っ払いの介抱という役回りが多かったのだ。
大通りのど真ん中で寝てしまう奴を塒のアパートまで運んだり、意識不明に近い酩酊の……これはバンドのドラマー……だが、タクシーに乗せ、吐かせないように気を配るのだから……こっちの酔いはいっそ抜けてしまう。
かっての友人の一人で、コンパなどで女子の酔っぱらう姿が見たいという悪趣味がいたが、僕は真っ平ゴメンである。
多少なりとも、好意を持っている女子の、気取りのタガの外れた姿など、全く見たくは無い。
事実、最終的に振られた「ツンデレ女子」の、酔っぱらった軽薄な様を逐一報告してくれた奴もいたが……僕は、いっそ悲しくなってしまったほどだ。
時に、女子を酔わせてホテルにしけこむ的な話も聞くが、……後朝の別れ際の、当の女子の蔑みにも似た視線を思い浮かべるならば、いっそシラフの口を以て振られたほうがましだと考えている。
二日酔いの話からはずれてしまったが、適度の酔いの中……振られる恐れのない幻の少女との戯れのほうが、僕には相応しそうである。
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