見出し画像

タコを削る

 足の裏のタコに悩まされているいることは、以前にも綴ったと思う。
 原因はおよそ理解している。バッグなどを左側中心に掛けているせいと、何よりも性格そのままに身体が捩れているのだろう。

 とにかく酷い時は歩行もままならず、バイト帰りなど家の階段を手摺りに捕まって登るありさまなのだ。とにかく、親指の付け根、小指の付け根……おまけに踵。当初は左足中心だったのだが……痛みを庇っての不自然な歩き方のせいか、ついには右足にもタコがのさばり出したのだ。

 当初はサリチル酸が効くというので、「イボころり」とかいう貼り薬や液体も使ってみたのだが、埒が明かない。

 とにかく家の中を移動するだけでも難儀とあれば、一時は医者にでも……と考えてもみたが、いかんせん生来の医者嫌いとしあれば、踏ん切りはつかない。

 とにかく削ろうと思い、ガラス製の爪ヤスリを使ってもみたが……全く効果がない。

 こうなけば、刃物で切り取るしかないと色々調べてみると……なんと、タコを削る器具というのに目が止まった。
 どんなものかと言うと……そう、ひげ剃り、いや……いっそ、超小型のカンナと言う方が正確だろう。
 まあ、形としてはひげ剃りに近く、カミソリを装着してあって、これでタコを薄く、少しずつ削ってゆくのだ。

 ところで、カンナを使用した人ならご理解頂けると思うが、コツを掴むのが難しい。薄く切れず、刃が深く入ってしまい動きも止まることも多い。
 相手が木切れなら、どうということもないが……自らの神経の通う皮膚とあれば、出血もしかねない。

 当初は恐る恐る……角度を確かめながら器具を動かす。まあ、コツを掴むのにはさして時は要しない。気づけば……ちょうど削り節のような薄い皮膚……一センチ四方ほどの……が、楽々と削れてくる。

 慣れてくると、これが面白い。ヤスリと違って、みるみる頑固なタコの盛り上がりが低くなり……つい溜まった皮膚の切りくずを見ていると、なんとも不思議な達成感ににんまりしてしまうのだ。

 とり合えず、盛り上がっていたタコを削り取ってみると……あら不思議、あれほど痛かったのが嘘のようで……スタスタ、以前の早足も復活してくるのだ。

 もとより根本的な解決策ではないので……いずれタコは復活し、これを叉削るの繰返しにはなるだろうが……少なくとも、捻くれた性根そのままに歪んでいる肉体を改造するよりは、対症療法とはいえ、今のところベストと言える。

 このタコ削り器,当面必需品になりそうだが……残念ながら、面の皮の厚さを削ることは出来そうにない。

いいなと思ったら応援しよう!

銀騎士カート
貧乏人です。創作費用に充てたいので……よろしくお願いいたします。