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恐竜の末路
「日産」「ホンダ」「三菱」という自動車メーカーの、経営統合が世間を騒がしている。
今更何を……という気がしないでもない。
図体のでかい恐竜が、素早く走り回る進化した小動物に怯え……合体を以て異様を誇ろうとでも言うのだろうか? お笑い草である。
僕は車の運転も出来ないし、本来は車に関しては何を語る資格もないが……かって知りあいだったcaféのオーナーがかなりのカーキチで、こちらの退屈も構わず、一人悦に入って車の魅力について語ったものであった。
スポーツカーを所有しており、何度も改造を繰返したらしい。
燃費など糞を食らえ、とか、……加速が云々とか宣っていたと思うが……はっっきり言って僕にはチンプンカンプンであった。
それでも、こいつ……シンから車が好きなんだな、と言うことは理解出来た。
要するに、一家言の持ち主であった。
確かに、日本の自動車メーカーの中枢部にはそれぞれ一家言の持ち主がいたらしく……「車とはこういうものだ!」という信念に裏打ちされていたのだろう。
もとより、分からぬでもない。
しかし、個人の信念とは裏腹に時代はいやでも進み……デジタル化は進んでいる。
当然、その反動もあるだろう。近年、CDの音に不満を持った音楽愛好家がかってのレコードを再評価しているように……
当然、一家言を持ち、音楽をこよなく愛しているのだろう。
しかし、これはあくまでも趣味の問題であって……CDで満足している人間にとやかく言う筋合いはないはずである。
少なくとも、「市場」に於ては、アナログのレコードを再生するステレオなどは一部でしかない。
同じことが「車」にも言えそうである。
「車とはかくあるべきだ!」……かかる力み返った信念は、すでに企業理念としては遠ざかり、趣味の小箱に収められる時代が来てしまったのだろう。
そう言えば、 ネットの動画を見ていて……ちょっと面白い意見にぶつかった。
もはや、現代人の必須アイテムとして「スマホ」は第一であるという前提に立った時……日本の企業は、あくまでも車にスマホを積むという発想ながら……すでに世界の先端では、これとは真逆に……「スマホ」に車を装着して走らすという発想に移ってきていると……
言い得て妙である。
もはや趣味の世界でしか通用しない信念……「車とはかくあるべき」という古い思想が通用しない時代に入ってしまったのだろう。
強さとはこういうものだ!……と力んで、恐竜同士が合体したにして、もはや恐竜自体が滅びる宿命にあるのだ。
自動車以外でも、日本の多くの家電メーカーの凋落は今更言うまでもない。
技術立国日本……など今は昔の伝説にすぎないだろう。
もとより、嘆いても始まりはすまい。
政治経済の動向を見ても分かるだろうが、ここ数十年……瀕死の恐竜であるはずの大企業に、……もはやかっての威光は失われていると言うに、せっせと大量の餌を与えてきたのだ。そのせいで、恐竜達は贅肉が付き、単に上辺だけの栄光にしがみついているのだろう。
その、無意味な「エサ代」のために……我々庶民が犠牲らなるなど……真っ平ゴメンと……僕は激しく思うのだが……
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