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炬燵の季節

 ぶるる……だいぶ寒くなってきた。

 去年は11月の終わり頃には炬燵を設置していたのだが……今年は未だに、炬燵なしである。もとよりエアコンはおろか……いっさいの暖房器具はなく、綿入れを着込み、膝に毛布を掛けて過している。

 思えば、昨年も今ごろだろうか……この冬は暖房器具いっさいなしで過してやろう……などと息巻いていたのだが……無理な相談であった。

 なにせ、体脂肪は「ゼロ」に近い痩せの、古びた日本家屋とあってすきま風は入り放題なのだから、同居しているネズ公もさぞや天井裏で零していることだろう。

 一応灯油のファンヒーターは二台ほどあるのだが、肝心の灯油がなかなか近場では買えず……面倒なので、ここ何年も埃を被っている。

 ついこの間まで「暑い、暑い」とほざいていて、氷の上にでも寝たいとも思っていたのだから、人間とはちゃかりしたものである。

 実は、炬燵を設置すると言っても、仕事机兼食卓は、毛布を外しただけの炬燵なのだから、布団を掛け、コードを繋いでスイッチを入れれば完了ではあるが……実は、これが一筋縄ではゆかない。

 机(要は炬燵本体)の下には、本とかノートとか、よく判らない紙くずとか、ポッキーやポテチの箱や袋などなどが散乱しているし、上には27インチのMacの他、ペン立て、オロナイン、風邪薬、ハトムギのジェル、マキロン、ギター用のカポやピック、なぜか数種のサングラス、……ハードディスク……マグカップ、握力用の器具、チョコレート、煙草、ライターなんかが、無秩序にのさばっているのだ。

 上から片づけるか、下から始めるかだけでもハムレットの心境とあれば……腕組みのままに、しばし瞑目してしまうのだ。こんな時、アニメみたいな魔法が使えればと、シミジミ思うのだが……か弱き人間の悲しさである。

 取りあえず、イメージトレーニング。

 まず、あれ。次に、これ。序でに……そう、炬燵本体の下はたぶん埃だらけ、ゴミだらけなのだから……掃除機。が、待て! ……我が家の電気掃除機は調子が悪く、ちょっと吸い込んだだけで赤ランプのストを起こすはず。
 ならば、何とするか?
確か、数年前に百均で買った箒と塵取りがあったはず。が……どこにある?
 キッチンの脇? 階段の下? ……

 ……などと無策のままに怠けていると、とたんに立て続けのクシャミ。鼻水……

 思えば「怠け者の節句働き」という成句があったはず。

 普段怠けている人間への当てつけだろうか?

 なんとでも言ってくれ! そう。炬燵でぬっくり出来ることだけをイメージして……エイヤ! ……よし、炬燵を入れるぞ!

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    ……温かい!

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銀騎士カート
貧乏人です。創作費用に充てたいので……よろしくお願いいたします。