ハタ坊になってしまった!
昔から……特に成人してからは滅法風邪に強く、記憶を手繰ってみても「インフルエンザ」に感染した覚えがない。
まあ、厳密には感染していたのかも知れないが、軽い風邪と認識して、別に藥を飲むでもなく完治してしまったものだ。
実際のところ、発熱も頭痛も、ましてや筋肉や関節の痛みを経験したこしは殆どない。
バ○は風邪に罹らない、という俗説があるが……僕の場合当たっているのだろうか。
それでも小学生の頃までは、かなり始終風邪をひいたもので……咳がなかなか治まらず、医者の藥や注射よりも、「龍角散」であっさり症状が消えた記憶がある。
思えば、あんな植物の粉末が効くとも思えず……要は、病とは医者が治すものではなく、自分で治すものだと悟ったしだいであった。
とは言え……何年かに一度くらいは鼻風邪をひくのだが、そんなに長引くことはなかったと思う。
そんな僕だが……つい先だって、夜寒くなってきたのに羽毛布団を出すのもシンドクて、ついつい毛布一枚で寝てしまったのがまずかったのだろう……久しぶりに鼻風邪をひいてしまったのだ。
もちろん熱が出るでなく、ひたすら水っ鼻が流れる程度なので藥も飲まず、呑気にバイトに出かけたのだが……仕事中、完全に「ハタ坊」のふぜいであった。
とにかくポケットティシューだけは用意しておいたのだが、とても間に合わない。鼻をかいだ後、数分後には叉、水っ鼻が流れてくる。ほっとくと、鼻腔(特に左)からタラタラ……床にポタポタと落ちるのていてらくであった。
そう言えば、昭和の子供はよく青鼻を垂らしていたらしい。僕はそんな友達を見るとバカにしていたのだ。なにせ、鼻を擦った袖口がテカテカ光ってしまい、なんともミットもないのだ。
今回の僕の場合、さすがに青鼻ではなかったが、当時友達をバカにした祟りとばかり……拭っても拭っても流れ出てくる水鼻にティッシュも底をつき、ついつい袖で拭った結果……いい大人の服の袖が、テカテカ光り出したのだからたまらない。
結局、藥嫌いながらパブロンを飲み、ティッシュ一箱をもって、……やっと一週間後には鼻水も枯れ果てたけはいであった。
いずれにしても、大嫌いなキャラであったハタ坊に自分がなろうとは思ってもいなかった……
やはり、両方の鼻の穴から紫煙が吹き出る気分は格別……鼻風邪に限らず、少しは身体を労ろうかとも思っている。