見出し画像

懐かしのデミソース

 一般に「ソース」と言えば、「ウスター」「中濃」「トンカツソース」に分かれる。
一番汎用性に優れた「中濃」が売れ筋らしいが、僕は使わない。

 コロッケにはウスター、トンカツにはトンカツソースである。

 とにかく、料理にソースは欠かせない。特に僕が好きなのはデミグラスソースである。
以前は「ブルドック」の「掛けるデミグラスソース」というのを重宝していたのだが……なぜか、最近スーパー等で見かけない。

 まあ「デミグラス」といえば、ハンバーグを連想するのだろうが……僕がこいつをハンバーグ以外にも使うようになった切っ掛けは、かって渋谷の「東横のれん街」で買った、なんと言う店かは忘れたが、メンチカツをを食べた時のことだ。
 それまでメンチカツと言えば、トンカツソースを掛けていたのだが……僕が買ったメンチにはかなりたっぷりのデミグラソースが付いてきたのだ。
 これがやたら美味かったので、ついトンカツに掛けてみたのだが……あれ? ……妙に懐かしいのだ。そう。思い出した。学生時代の学食のトンカツに、確かデミグラスもどきのソースが掛かっていたはずである。

 以来、トンカツにもオムレツにもデミグラスを掛けていたのだが……先の「ブルドック」の奴が入手出来なくなり……一時はミートソースで代用したこともあった。
 実はこのミートソース……パスタ専用のパウチの奴ではなく、缶詰めの方がいい……案外ハンバーグにぶっ掛けてもいける。
 人には勧めないが、パンに塗って食べても美味い。

 とは言え、毎度ミートソースという訳にももいかず……思案したのが、ハヤシのルーを利用してのインチキデミソースである。それでも、そのまま溶いたのでは味も素っ気もない。ケチャップやソースも加えて味を整える。隠し味にはアンチョビ。

 面倒くさい……が口癖なのだが、一度凝ると、その過程自体が面白くもなってくる。不思議である。

 もちろん、デミグラスソースと言えば、有名な「ハインツ」で缶詰めが売っているが……今一僕の好みではない。

 ところが、今年の夏……暑い厨房でのソース造りもシンドく……ありきたりのソースに戻ってしまった。

 いずれ涼しくなってきたら、自分なりのデミグラスを作ってみようと思うのだが……たぷん僕が求めている味は、名店の味などではなく……学生時代、jazzの練習の後に食べたトンカツの、インチキデミなのだろう。

 たぶん今食べてみれば……「?」と思うだろうが……。言うまでもない。僕の舌が「これだ!」と覚えているのは、そう、「青春の味」に違いない……

 

いいなと思ったら応援しよう!

銀騎士カート
貧乏人です。創作費用に充てたいので……よろしくお願いいたします。