ステレオとヘッドホン
そろそろ新しいヘッドホンを買おうかと考えている。今使っているにはゼンハイザーだが、耳当てもボロボロ、細いコードが剥き出しになって……時に右の音が途切れることがある。
もとよりアンプを使っての本格的なのは論外なので、せいぜい1万円前後の、今候補に上がっているのがAKG K240 STUDIO-Y3という奴である。
思えば、ヘッドホン以外では全く音楽を聴かない。
もとよりステレオすら持っていない。待てよ……「ステレオ」という言葉はすでに死語なのだろうか?
確か、高校の時までは安物のステレオが我が家にもあったはず。16センチのスピーカーが二つくっついているだけのチャチな奴ではあったが、これでジャズを聴きまくったものである。
友人の家には、真ん中にでかいウーハーのついたもちっと高級な奴があって、確かに低音はズンズンと響き、チェンバースのベースなどなかなかの迫力であった。
そんな折り、ジャズの月刊誌の記事で、安物のスピーカーでも数多く繋げればいい音になるという情報を仕入れたのだ。
僕はさっそく家のステレオの改造に取り掛かった。まずは古い本箱を使ってスピーカーボックスを二つ作る。左右三つほどスピーカー装着の穴を切り、分解したステレオから外したスピーカーを埋め込む。
結果、あと四つスピーカーが足らないのだ。16センチで統一したかったのだが、贅沢も言えず、家の押入れで眠っていたラジオからスピーカーを外す。
そしてこれは家族の情報から、表に捨ててあるというラジオからこれ叉スピーカーを外す。近所でテレビを買い替えると言うので、廃棄する前にスピーカーだけ頂くことにする。
とり合えず、大きさはチグハグながらも、左右合計六つのスピーカーを持った自作ステレオが完成したのだ。
今考えて、首を捻るのだが……僕には電気とかそれに属する配線の知識など皆無だったはず、「Ω」の記号すら曖昧だったのだから……
ただし、このインチキ自作ステレオ……なかなか良い音を鳴らしてくれたのだ。
その時初めてかけたレコードがドルフィーの「out to lunch」だったこともハッキリ覚えている。
……ただし直後のことだ。やはり電気の知識のなさのツケなのだろう……金属を焼くようなニオイが立ち……本能的危機を悟り、……結果、これが僕が家で聞いた最後のステレオであった。
それ以降、全うな音を聞きにジャズ喫茶に通い、家ではラジカセの情けない音で我慢するしかなかった。
時は流れ、……初代のiPodをゲットした時の感動は忘れない。
続いて、今愛用の、パソに繋いだゼンハイザーという流れである。
近所迷惑ということもあり、今更ステレオに戻る気もなく……新しいヘッドホンの情報集めの、今日この頃である。