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成人?
「成人式」が近い。民法の改正で「成人」の年齢が18歳に引き下げられたが……僕にとってはどうでもよい。
まあ、一律に線引きしたところで、実際には18で分別臭い「大人」もいれば、小学生並の「ガキ」だっているだろう。
僕にとっての「成人」とは、決して目出度いものではなく……いっそ「こどもの季節」からの決別を意味している。
人によって様々かも知れないが、僕の場合は14、5歳……すなわた中学を卒業した位に、「こどもの季節」が終わったように思う。
もちろん、高校生になったからと言って、急に大人びたとか分別が備わったわけでもなく……現実には相変わらず「ガキ」ではあったのだが……何と言うか、「こどもの資格」を失ってしまったという喪失感に近いのかも知れない。
アニメ風に解するならば、要は「魔法」が使えなくなってしまったのだ。
とは言え、当時を振り返っても、僕はそんな喪失感を嘆き、涙を流した記憶もない。
現実的な恋愛とか、具体的な社会との繋がりである受験とか……大人のとば口に於いて、世間一般の「希望」は持ち始めていたのだろう。
結果として、僕は「こどもの季節」に感じていた捕らえ所にない夢想を、「幼稚」とか「無知」とかいう常套概念の中に振り捨ててしまったらしい。
言うまでもなく、余程の「オタ系」でもない限り、娯楽として以外の、本当の「魔法」なんか信じてはいないだろう。
僕にしてそうだ。しかし……後年「小説」を書き始めて……僕は自分が「魔法」を使えなくなったことに愕然とするこになる。
まあ、僕がここで言う「魔法」とは……別に、指先から炎が出る的な「魔法」では断じてない。
一言で言えば、「こどもの季節」に覚えた……感性だろう。そこには、「常識」は存在しない。「幼稚」とか「無知」とか言う御節介に邪魔されることのない「夢の世界」が……現実世界の背後に広がっていたはずだ。
もとより、大人として生きる上で「知識」は必須のツールではあるだろう。しかし、これは諸刃の剣でもある。今現在知れ渡っているいるだけの概念や法則で全て規定し、そこからはみ出る世界を「異端」と見做してしまう。
本を読んで「知識」を高めることは確かに重要かも知れないが……「知識」の城塞に閉じこもっていては、「立派な大人」になることは出来ても、「野放図のこども」に戻ることは叶わないだろう。
願わくば……僕は取っておきの「魔法」駆使して……今再びの「こどもの季節」に戻りたいのだ。
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