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茫象綴噺・寸 空虚な螺旋

無限に続く螺旋の回廊は、虚無そのものであった。足元に広がる石畳は、ただ灰色の影に包まれ、音なき時の流れに削られた痕跡すら残さない。歩むごとにかすかな反響が響くが、それはすぐに消え去り、空間全体が静寂に包まれる。天を見上げれば、光さえも吸い込む闇が沈黙の中に横たわり、星の輝きもない。螺旋は上昇しながらも、行き着く先のない迷宮のように、果てしない虚無をただ巡る。何度歩みを進めようとも、出口は見えず、終わりなき回廊に囚われているかのようだ。存在は徐々に薄れ、形を失い、やがて虚無そのものへと還る。螺旋の軌跡は、どこまでも空虚を描き続け、静かに存在を飲み込んでゆく。

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