小説家。時々コックと異星人。 知識の都、本棚。#4
このシリーズも早くも第4回となった。
マンネリ化しないようにと、今回選んできた本は三浦しをんさんの「舟を編む」。
〈プロフィール〉
中学生になったか、なってないかくらいの時に購入した本。
この時期からたくさんの小説を読み始めた。
読んでいた時のドキドキは今でも忘れられない。
〈解説〉
馬締という人間の、これほどまでに面白い生き様を見ることができる私たちは、なんと幸せなのだろうか。
まずは、本書を説明する上では欠かせない、「馬締光也」という奇人を紹介する。
一言で言えば、ラブレターの出だしを「謹啓 吹く風に冬将軍の訪れ間近なるを感じる今日この頃ですが、ますますご清栄のことと存じます。」と綴る人だ。
これ以上の説明を必要とする人はいないだろう。
そう確信したところで、本題に入る。
本書は様々な話が混ざり合ってできている。
一つが、馬締たちが編む、辞書「大渡海」の編纂。
そして誰もがドキドキしたであろう、馬締の運命の恋。
ここでそのことについて書くと、そんな恋してみたいなあという欲望に駆られ、文章が大変なことになりそうなのでここでは触れないでおく。
今回注目すべきは、作者「三浦しをん」さんの技術にある。
三浦しをんさんは「馬締」という堅物に「大渡海」「馬締の恋」という二つの調味料をバランスよく混ぜ合わせ、本書を名作に仕立て上げた。
まるで料理人のように、美しく展開を混ぜ合わせるテクニックを持つ、三浦しをんさんは、夢想家で話がすぐバラバラになり、文章の順を入れ替えざるを得なくなったりする僕からすれば、異星人のようだ。
そんな能力を持つ三浦さんを突撃取材!
することもできないので、僕らの相棒wikipediaを使って彼女のことを調べたところ、様々なことがわかった。
どうやら、エッセイを書かれているらしく、爆笑日常エッセイと、本やマンガの魅力を語るものに分かれているらしい。
なんと!
僕と重なるではないか!
爆笑日常エッセイは絶賛連載中の日記「笑いを捕らえよ!」に置き換えられ、本や漫画の魅力語りは、このシリーズ「知識の都、本棚。」に置き換えられる。
さらに妄想が好きとまで!
こんなことがあるだろうか、これは僕の小説家としての大成を天が予知しているのかもしれない。
そんなことを思ったりもしたが、三浦さんの文章を再度読み返してみると、僕はまだまだだなと思わせることだらけで、改めてその構成と文章力に感慨を覚えるばかりであった。
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