減量時の心の持ち方
減量期における心の持ち方と周囲への配慮
減量の時期になると、ピリピリとした雰囲気を纏う選手も少なくありません。減量を始めた当初、私もそうした苛立ちやストレスを感じることが多かったと思います。視覚や嗅覚から入ってくる食べ物や飲み物の誘惑に耐え、練習に専念しつつ体重を落とす——こうした日々を積み重ねなければ試合に出場できないというプレッシャーは、ストレスや不満を生むのは自然なことだと考えます。特に周囲の人たちが日常的に食事やおやつを楽しんでいる様子を目にすると、食べられない自分に対する不満が募り、感情的にギスギスしてしまうのも無理はありません。
しかし、減量を重ねていくうちに、私は次第にこのような「ピリつき」が少なくなっていくのを感じるようになりました。それは、自分がこの減量という選択肢を自らの意思で選び取っていることに気づいたからです。勝利のために必要なことを自分の意志で選択しているのだという認識が芽生えたことで、減量の辛さに対する感情も大きく変わっていきました。言い換えれば、減量をするかどうかは自分の意思の問題であり、誰かに強要されているわけではない——この事実を受け入れることで、気持ちが楽になったのです。
自分の選択に対する責任と周囲への配慮
減量を選んだのは他ならぬ自分であり、それによって周りの人に理解や配慮を求めるのはある種の傲慢さだと、私は考えます。もちろん、減量中の選手は多くのストレスや我慢を強いられるため、しんどさは十分に理解できます。しかし、自らの意思で階級を選択し、減量を決めている以上、周りの人を不快にさせるような態度を取るべきではありません。特に周囲の人に苛立ちをぶつけたり、気を使わせたりすることは、人としての器が問われる部分です。減量中であっても、周りに気を使うことができる選手こそが、本当に一流の選手であり、応援されるにふさわしい存在だと私は思います。
スポーツ科学の発展と減量方法の進化
近年のスポーツ科学の進歩により、さまざまな減量方法や知識が簡単に手に入る時代になりました。自分の体質や性格に合った減量方法を選べるようになったことで、以前よりもストレスを感じずに減量を進めることが可能になったと思います。例えば、ゆっくりと体重を落とす「徐減量」と、短期間で一気に減らす「急減量」がありますが、自分に適した方法を選ぶことで、減量に対する不安や不満が軽減されます。
また、適切な減量方法を見つけることで、食事制限や練習の強度をコントロールでき、精神的にも安定した状態を保てるようになります。こうした方法を取り入れることで、減量に対するストレスを大幅に減らし、良いパフォーマンスを維持しやすくなるのです。スポーツの競技力だけでなく、減量という挑戦に対しても、時代に合わせて最適な選択肢を見つけることが大切だと思います。
減量中の他者への配慮と一流選手の在り方
レスリングは対人競技であり、相手がいなければ練習も成り立ちません。そのため、練習中の他選手やコーチ、周囲のスタッフへの配慮は欠かせません。特に減量中であっても、他の選手が気持ちよく練習できる環境を大切にすべきだと思います。例えば、自分が減量をしているからといって、練習場の暖房を高温に設定したり、厚着をしたまま、チャックのついた練習着でレスリングに参加するのは周囲に対して配慮が足りない行為です。こうした行動は、周りの選手にとっても不快で、練習環境を悪化させる原因にもなりかねません。
一流の選手とは、単に競技成績が優れているだけでなく、周囲に対して常に敬意と配慮を持ち合わせている存在だと思います。減量中であっても他者への思いやりを忘れず、応援される存在であることを意識する——これが、一流選手として求められる姿勢なのです。
計画的な減量と心の持ち方の重要性
減量期には、試合までの残り日数を逆算して計画的に体重を落としていくことが一般的です。短期間での過度な減量は、体への負担が大きくなるだけでなく、試合当日に最高のパフォーマンスを発揮するのが難しくなります。計量から試合までのリカバリー時間に疲労が残り、持てる力を完全に発揮できないケースが多く、特に試合中の集中力やスタミナに影響を与えかねません。そのため、無理な急減量は推奨できません。
私自身の経験から言っても、体重を早めに落としておくことで、試合前に余裕が生まれ、精神的にも安定した状態を維持することができます。試合当日を万全な心身で迎えるためには、減量を計画的に行い、余裕を持って体調を整えることが必要不可欠です。このような取り組みは、減量期のストレス軽減にも繋がり、メンタル維持にも大きな効果があります。
減量は「自己管理」の一環として
最後に、減量は「自らの選択で行うもの」であり、「自己管理」の一環です。他の誰でもなく、勝利のために体重を管理するという行動を選んだのは自分自身なのです。この意識を持つことで、他者に理解や配慮を求めるのではなく、むしろ周囲に迷惑をかけないよう心がける責任感が生まれます。自分が選んだ道である以上、それに伴う苦しみや辛さも自ら受け入れ、他者に強要することなく前向きに取り組む姿勢が、真に一流の選手に求められる要素だと感じています。
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