ピンクのカーテンを浴びながら。
悩ましい事だが最近くしゃみと鼻水がよく出る。
聞けば今日は花粉が大量に飛散しているらしく遠くの山は白く霞んでいた。
これはもしや自分にも花粉の許容量の限界が近づきつつあるのかもしれないと嫌な予感が頭をよぎったが認めたくはなかった。
ここ数日朝から晴天が続いており先週にはまだつぼみだった桜の花が一気に開花した。
こうなるとくしゃみの事など忘れて桜見物をしたくなる。
今日は車に乗っている時間が長かったのでドライブがてら観光コースを組み立てて運転した。
まずは近所の公園前を通る。
ここには二本の大きな桜の木が植えてあってなかなか見ごたえがある。
運転中なので前を見ながらチラリと覗き見る。
それから少し走って美術館の桜並木を通る。
全長650メートルの道路の左右に桜が咲いてびっしりと咲き誇っている様は圧巻である。
私の前を走っていた車が見惚れているのか時速十五キロでのろのろと運転をしていたおかげでたっぷりと桜を浴びることが出来た。
いやぁ今年もここを通ることが出来てよかったなぁと思いつつ次の桜ポイントを目指す。
車を走らせること三十分で辿り着いたのは古い八幡宮である。
ここの境内に立派な桜の木があり今日はちょうど満開だった。
すぐ近所のスーパーで買ったお団子とお茶で一人花見をすることにした。
私以外に人影はなく桜を独り占めできて何とも贅沢な時間を過ごした。
ああ、このまま夜までここにいて夜桜を楽しみたいと思ったが幼稚園児くらいの幼い子供を連れたママ友さんたちがやってきたので、おっとここらで潮時かなと思ってそっとその場を離れた。
それからさらに山奥の集落を訪ねたがそこも見事に咲き誇っていた。
今日一日で一年分は桜を眺めたので首が少し痛くなった。
ちょうど満開の時期はよく雨が降るので出来れば週末までお天気が持ってくれたら妻と花見をしたい。
テルテル坊主を作って軒先に吊るしておこうか。
桜ってなんでこんなに日本人の心を引き付けてやまないのでしょうね。
また散り際のブワーッと桜吹雪が舞う姿も美しいですよね。
いよいよ春本番だなぁと思いつつ昨日の晩御飯を振り返ってみる。
買い物をしないで帰宅したのであるもので作った。
まずは副菜づくり、ジャガイモをよく洗ってレンジでチン。
アツアツのうちに皮を剥いてグニグニと粗めに潰す。
そこに新玉ねぎと人参のみじん切りを合わせる。
味付けは味噌とマヨネーズとレモン汁を少々。
よく混ぜたら味噌ポテトサラダの出来上がり。
メインは簡単に鍋。
入れる具材はしゃぶしゃぶ用の豚バラ肉とほうれん草。
ほうれん草を根元の赤い部分までよく洗って泥を落としてざく切り。
豚バラ肉は半分に切る。
鍋に日本酒をドボリと注いで昆布を敷いて沸騰直前で取り出す。
これで豚バラ肉とほうれん草の小鍋立ての準備完了。
居間に鍋と材料を運んでご飯の始まり。
妻を呼んで何はともあれ乾杯。
昨日のお酒は焼酎の水割り。
妻は安定のレモンサワー。
チーンとグラスを合わせて乾杯。
ツィッと飲むと芋の風味がして甘くて美味しい。
私は焼酎では芋焼酎が一番好きである。
焼酎は温めても冷やしても美味しく頂ける万能選手だ。
そんなことを考えながら味噌ポテサラをパクリ。
麦味噌特有の甘さとマヨネーズのコクをレモンがキュッと締めておりバランスのいい味である。
ポテトサラダに味噌を混ぜると聞いた時にはへぇ、そんなの美味いの?と素朴な疑問があったが実際にやってみると相性のよさにびっくりする。
ちなみに味噌とマヨネーズは一対一で合わせるのが我が家の流儀である。
二杯目の焼酎の水割りを作りながら鍋を食べる。
豚肉はしゃぶしゃぶ用なのですぐに火が通る。
煮えた端から取って地元の醤油蔵が作っているポン酢で食べる。
これがまた香りのいいポン酢で酸味も控えめでいい塩梅である。
鍋の中を綺麗にさらってから今度はほうれん草を入れる。
これも火の通りがいいのでサッと湯がいてパクッ。
後はそれの繰り返しである。
小鍋立ては池波正太郎のエッセイで覚えた料理だが具材は二つがスタンダードで三つ以上になると気忙しくなるのであまり粋じゃないとのこと。
それから鍋を囲む人数は多くても二人が限度で差しつ差されつの関係が望ましい。
なので夫婦二人で楽しむにはこれほど手軽な鍋もない。
昨日もあれこれとお互いの事を話しながら楽しく食事が進んだ。
鍋の締めには洗ったご飯で雑炊を作った。
豚肉とほうれん草のみというシンプルな具材だったがいいダシが出ており最後まで満喫した。
ご馳走様をして片付けるのも使った食器が少なかったのでラクチンだった。
さぁて、今日もそろそろ晩御飯の時間。
桜餅でも買って帰ろうかな。
食べ物に季節を感じると自分は日本人だなぁとしみじみ思う。
まぁそれが誇らしくもあるんですが。
それでは今日はこの辺で。
バイなら。