《聞いたことをまとめるのが苦手なタイプ》のアセスメントとその支援の方法 その9 集団生活の支援の方法②
② すぐには、思いや説明がうまく言えない
これには、2つの補助項目が付いています。
⑴ 臨機応変のコミニケーションができない
⑵ トラブル時には暴力・暴言・唾吐き・固まる
それぞれについて、解説して支援の方法を書きます。
⑴ 臨機応変のコミニケーションができない
臨機応変のコミュニケーションができないとは「自分からは話すことができるが、相手の話を聞いてそれに対して対応できない」ことを意味します。
自分からは言いたいことを言うが、相手がなにか話してきたらうまく返事ができないのです。つまり、人とうまく会話できないということです。それでは、集団で暮らしにくいですし、なんといっても友達ができません。
「映画を見にこう」と、誘うときの例を書いておきます。
「あした、映画を見よう、10時駅前集合な。」
「それはいいけど、駅のどっち側?」
「・・・」
「いや、バス停がある側と交番がある側があるだろう。そのどっちだ
と聞いているんだ。」
「いや、その・・・。」
「どっちかと、言うだけだけだろう。早く言えよ。」
「どっちと言っても・・・」
「ああ、もういい。映画を見に行かない。A君と遊びに行くわ。バイ
バイ。」
⑵ トラブル時には暴力・暴言・唾吐き・固まる
授業中と同じことが、トラブルのときでも起こります。相手がいろいろ言ってくることに対して、自分も意見を言いたいのです。トラブル時ですから、素早く言い返さないといけないし、興奮していることもあるでしょう。
だから、固まるよりは、自分の思いを言葉で紡ぐよりは、便利ですぐ使える暴力や暴言を使ってしまうのです。
実際に、実際にあった例を書いておきます。6年生男子D君の例です。
D君は、先生に頼まれて前の時間に使った4台のDVDを職員室まで運ぼうとしていた。教室の出入口に、クラスメイト4人がいて通れない。話が苦手な彼にとってこれは、大きなトラブルだ。うまく「通してくれ」とお願いできない。
「先生の用事をしている俺を、どうした邪魔するんだ」と考えたD君は、衝動的に次のように言った。(「ク」はクラスメイト)
D「どけや。じゃまだ。」
ク「どうして。俺らの方が先にここいる。お前が後ろの出入口へ回れ。」
D「それがどうした。どけ、ボケ。殺すぞ。」
ク「何が殺すじゃ。馬鹿じゃないの?なぁ、みんな。」
それを聞いたD君は、DVDを放り投げると、クラスメイトに殴りかかった。その後、大乱闘になった。
D君が「先生に頼まれてDVD運んでいる。悪いけど、通してくれないか?」と言えばよかったのです。そうすれば、親まで呼ばれて相手に謝ることもなかったし、DVDを弁償することもなかったのです。
「どんな支援をしたらいいのか」については《その10》に書きます。