《思考の柔軟性が弱いタイプ》のアセスメントとその支援の方法 その26 実例の細部から、支援の方法の本質を学ぶ-⑳ 授業中、掃除を始める子は、自分で解決したつもり
事例20 授業中に、掃除を始めるのは自分で解決
したつもり 《自分ルール》
5年生のT君は、社会の授業中に教室が汚れているのを見つけた。前の時間の図工の切り屑が、いっぱい落ちていたのだ。彼は、立ち上がると掃除道具入れから「ほうき」と「ちり取り」を持ってきて掃除し出した。
先生は、びっくりして授業を止め「何をしているのか?」と問いかけたら「教室が汚れているので、お掃除しています。」と答えた。
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【解説】T君は、いいことをしています。しかし、それは《自分ルール》からです。彼は「ゴミが落ちていたら、きれいにしないとイライラする」というルールなのです。みんなのために、きれいにしているわけではありません。
その上、ルール違反しています。「授業中に、授業のじゃまになるようなことをしてはいけない」というルールは、T君の頭にありあません。そのルールを「覚えて」もらう必要があります。
【セリフ】
先生「T君。急に掃除をしだしたね。ゴミが気になるのかな(「想像」)。
T君「汚れているのは、嫌いです。」
先生「だから、掃除しているんだね。掃除はいいことだよね(「共感」)。
授業中じゃなければね。」
T君「・・・」
先生「分からないようだね。少し説明します。授業は、みんなでやっていま
す。あなたとクラスメイトとそれから先生です。だから「授業中はみん
なの迷惑になうようなことは、やめましょう」というルールがあります
(「覚えて」)。おしゃべりや、トイレに行くことや、お茶を飲んだり、
遊んだりすることです。悪いけど、掃除もそれに当たります。見てくだ
さい。授業が止まってしまっているでしょう!」
T君「休み時間なら、いいんですか?」
先生「それなら、みんな喜んでくれると思いますよ。みんな、そう思うよ
ね。」
みんなが、頷いてくれる。
T君「分かりました。」
先生「何が、分かりましたか?」
T君「授業中は、みんなの邪魔をしていけない。」
先生「よく分かったみたいですね(「共感」)。じゃ、掃除道具を片付け
て、勉強の続きをしましょう。」
T君「はい。」
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