《思考の柔軟性が弱いタイプ》のアセスメントとその支援の方法 その27 実例の細部から、支援の方法の本質を学ぶ-㉑ やりたがるお手伝いは、お願いさせる
事例21 「手紙、配ったるわ」は、やりたいだけ
先生が手紙を配布しようとしたら、U君が「その手紙、俺が配ったるわ」と言い出した。いつも、先生と関係がよくないU君がそんなことをいい出したので、先生は喜んで「お願いするわ」と半分配るのを頼んだ。
U君は、素早く配ってくれた。先生が「助かったわ。ありがとう」と言うと、「おう。またな」と答えた。
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【解説】U君は「みんなのために、配ってあげよう」と思ったわけではありません。「先生を、助けてあげよう」とも考えていません。ただ、自分が配りたかっただけです。
配り方をよくみると、偉そうに配っています。「俺が配ってやったぞ。ありがたく思え」と言わんばかりです。
それなのに、先生はお願いをし、更にお礼まで言っています。これでは、先生の権威が下がり今後、指導しにくくなります。U君が「配りたい」のですから、お願いさせる必要があります。
※因みに平均タイプなら「先生、お手紙配りましょうか?」と疑問形で
聞いてきます。これには、イエスとノーがあります。U君の「配っ
たるわ」には、ノーはありません。
【セリフ】
U君「先生、その手紙、俺が配ったるわ。」
先生「ほう、U君はこの手紙を配りたいんだね(「想像」)。だったら、
『配ったるわ』は違うね。」
U君「・・・」
先生「配りたいんだたら、『先生、その手紙、配らせて下さい』と言わない
といけないね(「覚えて」)。」
U君「配らせてください(「すみません」)。」
先生「仕方がないね。そんなに配りたいんだったら、配らせてあげよう。は
い、半分。」
U君が、配り終わる。
先生「U君、なかなか配るの早いね。楽しかったですか(「共感」)?で
も、もう少し相手のことを考えて優しい気持ちで配った方がいいね。少
し乱暴でしたね。また、配りたかったら頼みに来てください(「覚え
て」)。いつでも、配らせて当げるよ。」
U君「分かった。」
先生「『分かった』じゃなくて、こういう場合は『分かりました』だね(「覚えて」)。」
U君「分かりました。」
先生「また、配るのを頼みに来てください。今回は、ご苦労さま。」