受け入れの方法とスキル 第4段階 その9
ひとしきり、トランポリンで遊んだので、次は「ボール投げ」です。
ボールをみーちゃんと二人で投げ合いしたいのですが、まだできません。ボールを投げることと、人に合わせて投げる(取りやすいように投げる)ことが同時にできないからです。
だから、今はまだ、新聞紙で作ったボールをダンボールのライオンに当てる『的あて遊び』と、床に座ってボールの転がし合いをする『ボール転がし』をしています。
先生「的あてするよ。ほら、みーちゃんが嫌いなライオさんを先生が3つ作
ったよ。」
注)絵本に出てくるライオンをいつも「いや」と言うのを利用
している。ライオン嫌いを育てようという意図はない。「いや」
は、恐らく「怖い」だろうという「想像」です。
みー「ライオン、いや」
先生「そうだね。嫌いだね(「想像」)。怖いね(「共感」)。あっちに大
きなライオンさんと、小さなライオンさが2匹いるね。あれを、やっつ
けましょう(「覚えて」)。この間作った、新聞紙の玉がたくさんある
ね。あれを投げて、やっつけましょう。こうやるのよ。」
みーちゃんは、まだ、投げるのが下手なので、先生が後ろから手を持って一緒に投げます。投げるときは、耳の横に構えて反対の足に向かって投げるように教えます(「覚えて」)。
玉を離すタイミングが、なかなか合いません。7,8回投げたときに、きれいに玉がライオンに向かって飛びました。
先生「えーい。…ほらみーちゃん、玉がライオンさんの方に飛んだね。もう
少しで、小さいライオンに当たりそうだったね。(「共感」)。みーち
ゃんは、悔しかった(「想像」)?」
みー「くやしい。」
先生「そうだね。悔しいね。もう1回やってみる?」
注)「もう1回」は、子どもの能動的態度を育てる大切な言葉です。
早めに、覚えてもらいましょう。
みー「もう1回。」
先生「いいわよ。じゃ、今度はみーちゃんだけでやってみる。一人だよ。当
たらなくてもいいよ。ほら、このバケツにまだ玉があと8個もあるよ。
どんどん、投げて。あと、8回投げられるよ。」
みー「やった。8回、8回。」
その後、みーちゃんは自分で、8回投げました。そのうち、うまく飛んだだのが3つで、なんと最後に大きなライオンに当たりました。でも、勢いが緩く、ライオンは揺れましたが倒れませんでした。
でも、驚いたことに、みーちゃんが初めて「悔しそうな声」をあげました。
注)的は、倒れやすいように作ってあったのですが・・・。
みー「あー、あー、だめ!!」
先生「そうだね。惜しかったね。もう少しで倒れるとこだったね(「共
感」)。悔しいね。残念だね。」
みー「悔(し)かった」
先生「今日は、玉切れなので、次はライオン倒そうね。分かった。じゃ、次
がんばるため雄叫びをあげるよ。せーの、『次は、ライオン倒すぞ、エ
イ、エイ、オー!」
みーちゃんも「オー」と言いながら手を上げています。
この後、床に座って 足をⅤ字に広げてボール転がしをしました。少し違うところに転がしても、伊藤先生の足に当たってちゃんと届きます。ボールが先生の手元に届いたら、伊藤先生は「先生に取りやすいように転がしてくれて、ありがとう」と必ず言うようにしています。
みーちゃんも笑っています。あともう少しで、ボールの投げ合いができそうです。