育ち直し 1988年2月20日(土) 2歳4ヶ月 「運んだるわ」じゃなくて、「運ばせてください」
【日記】
私が七瀬のおむつを替えて忙しくしていたら、梓はいつのまにか、自分ひとりでトイレに行ってきたようだ。👍 「ついて来て」とも言わなかった。黙って行ったので、最初気づかなかった。気づくとトレを流す音が聞こえてきて、梓がよたよたパンツを引きずりながら、トイレから出てきたので自分でトイレに行ったのが分かった。初めてのできごとだ。トイレの独立記念日だ。いや、自立記念日だ。
晩ご飯の後、お茶碗を流しに下げていたら「運んだるわ」と言って手伝ってくれた。何度も、テーブルと流しの間を、楽しそうに行き来して皿や茶碗を運んでいた。最後に、「梓、ありがとう」と言ったら変な顔していた。なぜだろう。👨🎓
👍 【解説】【セリフ】なし 「共感」で褒めてください
👨🎓 【解説】【セリフ】あり
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【解説】
発達の凸凹タイプの子どもに、親がよく間違ってしまう例が、日記で起こっています。何度も書いてきている、例のやつです(頼まれないのに、親切にしない)。
「運んだるわ」が「お手伝いしてあげるね」という親切なのか「運ばせろや!」という命令なのか、区別がつかないのが問題です。親切から言ってくれているのならなんの問題もないのですが、命令してきているのに簡単に許可を出してしまうと、保護者より子どもの方が立場が上になってしまいます。そうなると、その後の子育てが大変やりにくいものになるのは自明です。
この場合、「ありがとう」を言ったときに梓が変な顔をしていますので、親切ではなく命令だったのです。「運ばせろ」と命令して勝手に遊びで皿を運んだのに「ありがとう」と言われてたので、変な顔をしているのです。
だから、命令を「共感」と「覚えて」「すみません」で、お願いにしていく必要があります。「頼まれないのに、新切にしない」の原則です。
【セリフ】
お皿や茶碗を、流しに下げようとしていると
子「運んだるわ。」
父「いいよ。運びたいんだね、運ばさせてあげるよ(「共感」)。」
子「やった!」
父「でもそういうときは、『運んだるわ』じゃなくて、『すみません。お茶
碗運ばせてください。』と言うんだよ(「覚えて」)。覚えてね。」
子「ええ?」
父「じゃ、1回言ってみて。」
子「すみません。お茶碗運ばせてください(「すみません」)。」
父「仕方がないですね。やらせてあげましょう。本当は、お父さんがやりた
んでけどね。」
これで、親の方が立場が、子どもより少しだけ上になります。なぜなら、許可しているからです。「少しだけ」が、ポイントです。大変子育てがやりやすくなります。「大きく上」になってしまうと、子どもは怖がって言うことを聞くロボットのようになるか、強く反発してきて勝手に皿を運び始めます。