《思考の柔軟性が弱いタイプ》のアセスメントとその支援の方法 その31 実例の細部から、支援の方法の本質を学ぶ-㉕ いつもと違うルールが守れない
事例25 特別ルールを知らないで、叱られてしま
う子ども
ノックして「失礼しましす。1年2組のⅩです」と丁寧にあいさつをして、職員室に入ってくる中学1年生のX君。
しかし、今は試験期間中です。だから、2年生の先生に「なぜ、職員室に入ったんだ」と大声で叱られて「用事があるからに決まってるだろ」と切れて暴れてしまった。
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【解説】X君は、職員室への入り方を、きちんと守っています。試験期間中でなければです。終わりの会で「試験期間中、職員室入室禁止」を言われているのですが、忘れているのです。もしくは、聞いてなかったのです。職員室のドアにも「入室禁止」の張り紙があったりするのですが、見ていなかったり理解していなかったりするのです。
だから、正々堂々と普段のルールを守って、職員室に入ってきているのです。しかし、2年生の先生が「知っているのに、何をしているんだ」と言う暗黙の気持ちを込めて叱ったので、X君とトラブルになっています。「これは、変だ」と思って、事情を聞いてみた方がよかったのです。
【セリフ】 先生は、2年生の先生です。
先生「1年生のX。どうして職員室に入って来たのかな?」
X君「◎◎先生に、伝えることがあったので来ました。」
先生「そうか。◎◎先生に用事があるんだね(「共感」)。でもね、今は、
職員室に入っては行けない期間なんだよ。」
X君「そうなんですか?」
先生「試験中は、職員室に入ってはいけないんだよ(「覚えて」)。終わり
の会でも言っているし、扉にも『入室禁止』と書いてあったでしょう?
あー、ひょっとして知らなかったのかな(「想像」)?」
X君「・・・」
先生「だから、試験中に職員室に用事がある場合は、扉のところから『失礼
します。◎◎先生はいらっしゃいますか?』と呼ぶんだよ(「覚え
て」)。そうしたら、◎◎先生が扉のところまで来てくれるから。」
X君「分かりました。すませんでした。」
先生「分かったら、それでいいよ。次から注意してください。今、先生たち
はここで試験問題作っているからね(「覚えて」)。」
Ⅹ君「ヘぇー、そうなんですね。さらに、失礼しました。」