もろすけべ
こんにちは。
自立にむけてログハウスづくりをはじめたとっとです。
わたしは2023年春、第三者からログハウス事業を承継したことで卒サラしました。
卒サラするために事業承継を受けた、といったほうが気持ちの整理上は正確かもしれません。
事業承継のメリットの一つに営業努力の削減効果があるのだと漠然と思っていましたが、実際に初めての自営業者になり1年以上経っておもうのは、それは間違いだったということです。
もちろん業種によるとおもいます。
それでも昨年は小型のログハウスを受注することができ、とても良い経験をさせていただきました。
自営業者は孤独
現状の営業活動(というほどでもないですが)としては、
・引き継いだ会社のホームページの刷新
・過去の建築実績をYouTubeで配信
といったことに力を入れています。
最近はカミさんにYouTube配信の仕込みや、ちょっとした事務作業なども手伝ってもらっています。
事業承継したとはいえ、建築に関する専門的な相談に乗ってくれる先輩が近くにいるわけでも、また自営業に関する一般常識的な事務関係の部分をこまかく手取り足とり教えてくれる先輩がいるわけでもありません。
労働保険?
源泉徴収?
確定申告?
・・・
駆け出しの自営業者はみなさんそうだとおもいますが、全て自分で調べたり、聞けるところ(事務関係なら主に役所など)に確認しながら、すこしずつ理解をすすめているところです。
技術的な部分はさておき、事務的な部分で理解したことは、極力カミさんとも共有するように心がけています。
それでも、事業主体者目線でなんでも共有できるわけではないため、会社員時代とはまた違う孤独を感じています。
大森さんと佐々木さん
そんななか、今年に入ってちょっとしたリフォーム案件のお話をいただきました。
製材所を営んでいる親父のつながりで、わたしもよく顔を知る大森さん(仮名)という50歳ぐらいの大工さんに、今回は棟梁をしていただくことにしました。
ある日、そのリフォームの相談をいただいている家主様から、
「ゲストハウスの窓に網戸がないからそちらの網戸もつけてほしい」
という別のご相談を受けたので、棟梁の大森さんから、佐々木さん(仮名)というサッシ屋さんを紹介していただきました。
わたしは早速佐々木さんに連絡をとり、改めて二人で現場に伺い、窓の寸法をはかり、佐々木さんに網戸の見積を依頼しました。
佐々木さんから見積書が出てくるのを待っていたとある日の夕方、大森さんの事務所でいろいろと建築技術にかかる相談していたところ、
「まねけなのもかい?」
(たまには呑みましょうか)
と言ってくださり、大森さんと二人で飲み始めたのでした。
大森さんと呑んだ記憶
大森さんとは学生時代の面識はありませんが、わたしにとって地元の先輩にあたる方です。
もともとは、わたしの親父が30年前に製材所を始めたばかりのころ、やはり大工さんだった大森さんの親父さんに御世話になり、その親父さんも亡くなり、今はわたしの親父が、大工を継いだ現大森さんとよく仕事をしている、という流れがあります。
そして今度はわたしが、世代をまたいでまた大森さんにお世話になろうとしているという、めちゃくちゃ深いつながりのある大工さんなので、わたしが地元にもどってからも気にかけてくださっていたのです。
そんな深いつながりのある大森さんと初めて呑めるということで、実際にそれはとても楽しい時間でした。
たのしかったのですが、
「佐々木さん、もろすけべやよ。まじ、もっっっろすけべやかい」
(佐々木さんって、ものすごく助平だよ。いやほんとに、ものすっっっごい助平だから。)
と、しきりに言われた記憶しかほとんどのこっていません。
わたしにとっては、仕事仲間と呑むのが卒サラして初めてのことだったので、とても懐かしい感じがするとともに、しかも大森さんは自営業者としても先輩なので、これまで感じていた孤独を少し払拭することができる非常に楽しい時間だったこともあり、ほかにどんなことを話したのかほとんど覚えていなかったのです。
そして、初対面でも気さくに接してくださった、網戸の佐々木さんがもろすけべだということが、気づいたら脳裏から離れなくなっていました。
言われてみれば、佐々木さんはすこしぎょろ目だった気がします。(偏見)
網戸の設置
そうこうしているうちに、佐々木さんから網戸の見積書がメールで送られてきました。
家主様にお見せして判断を仰ぐと、GOということで回答いただいたので、佐々木さんと網戸を設置しにいくことになりました。
施工当日、家主様に事前連絡をいれると、別件で他の業者さんもきていてちょっと人が多い、とのことだったので、車2台でいくと邪魔かもしれないと思い、佐々木さんに無理を言って同乗させてもらいました。
佐々木さんは採寸したとおりの網戸をきちんと準備してこられ、車内であれこれ説明をしてくれます。
(でも、佐々木さんってもろすけべなんでしょ?)
頭の中でだれかが繰り返し囁き、まったく話が入ってきません。
現場でも、もろすけべという点以外は特に問題なく、佐々木さんはきちっと仕事をしてくれました。
わたしから家主さんに作業報告をして、佐々木さんと帰路につきます。
会うのはこの日がまだ2度目にもかかわらず、
「佐々木さんってもろすけべやよ・・・」
がずーっと頭からはなれず、このまま偏見の目で見てしまってはさすがに申し訳ないとおもい、
「あの、大森さんから聞いたんですけど、佐々木さんってもろすけべなんですか?」
と確認をとることに。
すると佐々木さんは大爆笑しながら、
「いやいや、大森さんのほうがすけべやし!」
(いえいえ、大森さんのほうが助平ですよ)
と否定されました。
いやこれは両方すけべだなと確信しつつ、今度は佐々木さんとも呑む約束をして、今後のお取引もよろしくおねがいしたいと添え、車を降りたのでした。
後日談
網戸の件が落着し、後日リフォーム案件のことで大森さんと打ち合わせた際に、紹介いただいた佐々木さんに無事網戸を設置していただいたと報告をしました。
あわせて、佐々木さんは大森さんのほうがすけべって言ってましたよ?
とそちらも報告したところ、
「おいもだいぶすけべやけど、あっちんほうがそんうえいきよっごたい」
(わたしも大変助平ですが、佐々木さんのほうがその上をいく助平のようですよ)
と言われ、まぁ自分もすけべだからいっか、
とようやく脳裏のもろすけべ呪縛から解放されたのでした。
まとめ
何が言いたかったかというと、結局みんなすけべだということと、こうやってくだらないことを気軽に話せる仕事仲間がようやくできてきた・・・ということです。笑
これってとても大事だと思います。
自営業者の孤独感(生計たてなきゃというストレスや、信頼関係をつくるために常に晒される緊張感など)は事業者のエンジンとして欠かせない大事なものではあります。
でもそれよりも、いずれ死ぬまでの残り時間にどうしてこの仕事を一つの柱にしようとおもったのか、その最も大事な部分を孤独によって見失うことがあってはなりません。
ある程度の孤独は噛み締めながらも、気の合う仲間と、そして大事な家族と、とにかく楽しくすごせるようにしていきたいと改めて感じることができた一件なのでした。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
ログハウスづくり23年の軌跡をYouTubeでも配信しています。もしよろしければ、こちらもぜひ覗いてやってください!