新型コロナウイルスが流行する前、奄美諸島の与論島に毎年のように行っていました。
ヨロンは一周23.7kmしかない小さな島です。
鍾乳洞など観光スポットもありますが、すべて見ても1日かかりません。
ひとによっては何もないと思うだろう島で、食事処もほとんどありません。
なのに何度も行きたくなる不思議な島です。
映画『めがね』
荻上直子(おぎがみ なおこ)監督が、大ヒットさせた『かもめ食堂』のあと、手掛けたのがヨロンを舞台にした『めがね』です。
『かもめ食堂』は、フィンランドで食堂を営む小林聡美演じる主人公が、それぞれの理由でフィンランドを訪れた日本人と親しくなる過程と、その出会いを通じて閑古鳥が鳴いていた食堂が軌道に乗るまでを描いた作品で、結構起承転結がしっかりしてる作品です。
『めがね』は同じく小林聡美演じる主人公が旅行で訪れたヨロンで、島民と過ごす過程で自分を開放するという物語になっています。
ですが、主人公タエコはその過程をセリフで表現しませんし、島民たちも多くを語ろうとしませんので、『かもめ食堂』でさえかなり好き嫌いが分かれる作品ですが、『めがね』はよりひとを選ぶ作品です。
『めがね』に続き、小林聡美が主演する類似作品が制作されていますが、荻上監督が手掛けたのは『かもめ食堂』と『めがね』のみです。
なので他の作品は正直キッツイです。
観られるのは『めがね』で限界という感じなのでご注意ください…。
ヨロンと『めがね』
『めがね』のもう一人の主人公は、舞台になっているヨロンですが、ここがヨロンであるということが作中で言及されることはありません。
しかし、海を始めた風景が私たちを魅了してくれます。
主人公のタエコは、物語がはじまってすぐ、空港から宿に向かう途中でヨロンの海を観て感嘆するのですが、それを見て私たちも「わぁ〜」と心が踊ります。
(タエコはここでしゃべらない。そこがいい。)
自分はすっかりヨロンへの思いが募ってしまって、それから毎年のようにヨロンに通うことになります。
なにもしないが正解
ヨロン島には観光スポットもあるのですが、その気になれば1日で回れるくらいのものしかありません。
やはりなんと言っても海です。
起きては海に行って本を読んだり、朝食を摂ったら別のビーチに行ってビールを飲んだり、何もしなくても何も言われない究極のゼイタクです。
なお、映画では「電波入らない」って言ってますが、普通に入ります。笑
ヨロン島ビレッジ
ヨロンでは、プリシアリゾートを宿泊先として選ぶ方が多いのですが、『めがね』の撮影場所にもなったヨロン島ビレッジが断然オススメです。
なんせごはんがめっちゃうまい!
観光スポットの方やタクシーの運転手などに「どこ泊まっているんですか?」と聞かれたときに「ビレッジです」というと、ほぼ100%「あ~あそこはごはんが美味しいからねぇ〜」と言われます。
そのくらいうまい、そして量がめっちゃ多いw
なので、初日は島で作っている黒糖焼酎「島有泉」をボトルで入れて、料理をつまみに飲みまくるというのが最高に楽しい。
沖縄と思われがちですが、ヨロンは奄美諸島なので、鹿児島文化とのMIX感があります。
醤油は甘く、泡盛じゃなくて焼酎。
(味は結構濃い目なので、気になる方は事前に伝えたほうがいいかも。)
この瞬間は、もしかしたら最後の出来事かもしれない
『めがね』ですが、祖母と映画館で一緒に観た最後の作品でした。
途中で寝てましたが(笑)、飯島奈美さんが手掛ける料理に「美味しそう」と言っていたのを覚えています。
祖母が亡くなったのは、『めがね』が公開されてから大分経ってからなので、その時はそれが最後になるなんて思いもしませんでした。
家が近いということもありますが、定期的に家族に会うようにしいます。
それは孝行というよりかは、自分が後悔したくないから。
どんな瞬間も決して当たり前じゃない。
もしかしたらきのう母と食べた天ぷらは、親と食べる最後の天ぷらになるかもしれない。
それは決して哀しいことばかりじゃない。美味しい食事をした良い思い出でもある。
『めがね』を観たり、ヨロンに行ったとき、祖母を思い出すことは懐かしむと同時に、家族でそういう時間を持てた自分を幸せだと感じる瞬間でもあるのです。
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