スコセッシとデニーロとディカプリオと/『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』
「『タイタニック』に出演したことを後悔している」
レオナルド・ディカプリオは以前そう雑誌のインタビューで言っています。
その理由はその出演により、イメージが固定化されてしまったこと。
「スター」になったことにより、役柄の選択肢が狭まってしまったことなどを上げているそうです。
特に後者のスターになることについては、自分が背負うものが大きくなりすぎたため、採算の合わない(≒スタッフを養えない)映画への出演などは難しくなったという。
「仕事が選べるけど選べない」状態。
よく考えてみれば『タイタニック』出演前はインディーズの映画ばかり出ていて、自分はタイタニック後より前のほうが彼の映画を追っかけてた気がします。
超絶美少年期なのに『バスケットボール・ダイアリーズ』とか『太陽と月に背いて』とか、よく考えたらディカプリオめっちゃ脱いでたわ〜。上裸とかじゃなくて全裸。
そんなとき、スコセッシにディカプリオを紹介したのはロバート・デ・ニーロだったのです。
三人揃ったのは初めて!
スコセッシ・デニーロ・ディカプリオが揃った映画って10/20に公開された『キラー・オブ・ザ・フラワームーン』がはじめてなんですよ!
最初その話を聞いたとき、「んなわけないし〜『ボーイズ・ライフ』でデニーロとディカプリオ共演してるし、ふたりともスコセッシの映画に出まくって…あーマジだ!監督作にふたりで出たことない!」と全然認識してませんでした。
だってさ、デニーロは今作が10作目、ディカプリオは6作目で新旧スコセッシのミューズなんですよ。
だから勝手に揃ったと思いこんでたんですけど、初めてだった。
つまり、ファンには垂涎ものなわけです。
スコセッシ映画は嫌いではないけれど、ドンピシャではないのでそれほど感慨はないですが、ファンはたまらないでしょう。
でも真の主役はディカプリオではなく、デニーロでもなかった
『キラーズ〜』は、原作があり、主役はディカプリオということで制作がスタートしたのですが、原作の主人公を演じているのはディカプリオではなく、ジェシー・プレモンスです。
ジェシー・プレモンスは、『パワー・オブ・ザ・ドッグ』でアカデミー賞助演男優賞にノミネート。
プライベートではこの映画で共演したキルスティン・ダンストと交際し、お子が生まれ、キルスティン・ダンストも『パワー〜』で助演女優賞にノミネートと乗りに乗ってる感じなのです。
なので、「スコセッシ映画に主演!?超出世!」と世間では騒がれていたのですが、なんてことはない、主演がディカプリオであることは変わらず、その役柄が変わったというだけでした。
実際の出演時間は想定より短くて、ファンとしてはガッカリ。
ですが、ディカプリオが堂々たる主演で、演技も相変わらずすごいのですが、個人的にはこの映画の主演は、彼ではなかった。
デ・ニーロ、でもない。
当初は助演プッシュだったのが、主演プッシュに変わったリリー・グラッドストーン!
「誰ですか?」とか言ってすいませんでした。
気高く、美しく、そしてキュート!
彼女が演じた役は、映画のキーとなる人物です。
正直映画を観るまでは、主演女優としては地味すぎでは…と思っていたのですが、華があり、映画全体を彼女演じる役が支えていると言って過言ではありません。
ディカプリオの演技に対し、さらなる説得力を彼女が与えているのです。
そのキャラクターは、どちらかというと芯があり、気品さえ感じるものなのですが、ストーリーがはじまってすぐ、彼女に心を奪われてしまうのです。
難点はなんと言っても上映時間
しかし、『キラーズ〜』にも悩ましい点はございます。
それはなんといっても上映時間。
206分、つまり3時間26分。まさかの『タイタニック超え』。『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』の192分をゆうに超える時間!
映画は「短ければ短いほど良い」と思っているので、自分にはやっぱりちょっと長かったです。
鑑賞中は結構水分を摂るので、3時間近くになると途中からトイレのことが頭にチラついてしまうこともあり。
映画としての完成度はとても高いものだと思いますが、自分は逆にスコセッシに時間制限なく、ドラマシリーズで思いっきり制作費掛けて作る作品も観てみたくなりましたね。