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せまゲー生半可集(23)~ Progressive KAZUTORI(仮)

前回の記事はこちら。

せまゲー&マンカラのあわせ技で『Progressive Mancala(プログレッシブ・マンカラ)』を紹介しました。
今回は、このゲームの発案したきっかけとなったゲームにふれつつ、このアイデアを別のゲームに登用してみます。

Progressive Chess

『Progressive Mancala(プログレッシブ・マンカラ)』の発案のきっかけとなったゲームとは、『Progressive Chess(プログレッシブ・チェス)』です。
※BGGには登録はなかったので、変形チェスの総本山サイト「Chess Variants」から項目を引いてきます。

チェスのルールを変化させた派生ゲームはたくさんありますが、その中で最もよく知られたゲーム、と言っても過言ではありません(なにせ、世界大会まで開催しています)。

そのルールですが、手番が終了すると、次に相手の手番に動かせる手数が1手増えます
つまり、通常だと白→黒→白→黒→白→黒→……と1手交互に動かしますが、『プログレッシブ・チェス』は、

白→黒→黒→白→白→白→黒→黒→黒→黒→……

と、連続手が1つ増えつつ交互に動かします。

えぐい。

他にも細かいルール(特にチェック(王手))はありますが、手番の動かす回数がどんどん増えていくのが、一番の特徴です。

Progressive Mancalaへの応用

本来なら、前回の記事に『Progressive Chess(プログレッシブ・チェス)』も合わせて紹介しようと思いました。
なにせ、『Progressive Mancala(プログレッシブ・マンカラ)』の生みの親のようなものですから。
しかし、『プログレッシブ・チェス』のどのへんを生かしたか推測したのですが、おそらく「マンカラを空の穴で終了すると相手の手番が1つ増える」ペナルティのルールではないかと。
ペナルティを繰り返せば、連続して手番が増えていきます。

一方、ラップ(マンカラ終了後の穴に石があれば、連続してマンカラを行う)も候補になります。
でもねえ、すでに多数のマンカラで扱われている『プログレッシブ・チェス』以前からあるおなじみのルールなのです。

ケチを付けるわけではありませんが、『プログレッシブ・チェス』からの発案、と名乗るには関連性が腑に落ちづらいかもなあ、と思った次第でした。


Progressive KAZUTORI(仮)

それはそれとして、手番が経過すると手数が増えていくルールをほかのゲームに適用できないか、と考えてみまして、ふと行き着いたのが、

『Nim(ニム)』

です。
「手番が経過すると取ることができる石の数が増えていく」ルールです。

ところがですね、本来の『ニム』は、手番で取る石の数は制限なしなのです。
手番で取る石の数の上限が定められているゲームは別にあります。
欧米では『The subtraction game(引き算ゲーム)』と呼んでいます。


その一方、別名として『ニム』と呼んでいたりするので、ややこしい。
『引き算ゲーム』も呼び方には様々なバリエーションがありまして……といっても、勝ち負けの判断となる数が入っているものがほとんどですが。

例えば「21ゲーム」です。
引き算ではありませんが、1からはじめて、2、3、……と数字を上げて連呼していきます。
連呼できる回数は1回から3回です。
手番を重ねて「21」と呼んだ人が負けになります。

で、『引き算ゲーム』ですが、日本でのメジャーな呼び名が

『数取り(KAZUTORI)』

です。
ということで、仮称『Progressive KAZUTORI』です。


Progressive KAZUTORI(仮)のルール

『Progressive KAZUTORI』の勝敗条件は『数取り』と同じです。
1からはじめて、1つずつ数字を上げて連呼して、特定の数を呼ぶと負けになります。
『数取り』と異なるのは連呼できる回数の上限です。
『数取り』ではどの手番でも連呼できる回数の上限は固定していますが、『Progressive KAZUTORI』は、手番が1つ経過すると連呼できる回数の上限が1つ増えていきます。

例として、
・21を呼ぶと負け。
・ゲーム開始時、連呼できる回数は1回。
のルールで2人プレイしてみます。

先手:(上限1回)1   
後手:(上限2回)2・3
先手:(上限3回)4・5
後手:(上限4回)6・7・8・9
先手:(上限5回)10・11・12・13
後手:(上限6回)14
先手:(上限7回)15・16・17・18・19・20
後手:(上限8回)21

で、後手の負けとなります。

さて、『Progressive KAZUTORI』ですが、

必勝法ってあるのでしょうか?


Progressive KAZUTORI(仮)の必勝法……って?

必勝法はあるでしょうが、通常の『数取り』よりも複雑になると思います。

例えば「21ゲーム」では、連呼の回数の上限が3回と決まっているので、後手は4の倍数になる数で連呼を終えるようにすると、後手の必勝となります。
「21」と呼ぶと負けになるということは、直前の「20」で止めると次番は必ず「21」と呼ぶので負けません。

『Progressive KAZUTORI』は、連呼の回数が固定ではなく変化(単調増加)していくので、一筋縄ではいきません。

『Progressive KAZUTORI』の考え方は、すでに誰かが研究しているではと推測しますが、関連する文献(特に組合せゲーム理論方面)が探しきれていません。
知見ある方よりご教授いただけますと幸いです。


締め

ということで『Progressive KAZUTORI(仮)』を考えてみました。
またそのうち、必勝法や他の表現(Octal Gameであらわす)など、もうすこし掘り下げてみようかなと思います。

では。

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