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『臆病者のラプソディー』

行きつけのカフェや飲食店で

店員さんに心奪われた経験はないだろうか?

今から15、6年前に

一度だけそんな経験をしたことがある。

通って通って通いつめたけど

ほんの少しの勇気が足りず

結局声をかけることはできなかった。

「後悔してることは?」と聞かれたら

思い出してしまう出来事の一つだ。

『臆病者のラプソディー』

通いつめた喫茶店で

決まっていつもブレンドコーヒー

そこに君はいて

そこで僕は恋をした

すかした顔で煙草をくわえ

表情変えずにコーヒーを

本当は君を見ていたいのに

話がしたいのに

臆病な僕は活字に目を走らせる

どうせ君から見れば

僕は客の一人にすぎないのに

「食事に行きませんか?」と

気軽に誘えたなら

どれだけ楽だろうか

ため息一つ

紙に書いたアドレスを

今日も渡せないまま

切ない気持ちはビター

初め友達に連れられて

ふらりと寄った喫茶店

雑談中の視界の中に

飛び込んできた君

足繁く通うようになって

やっぱり頼んでいたブレンド

僕のことは覚えてくれただろうか?

と思う日々

「ここのコーヒー美味しいですね」

とそれさえ言えない自分が

歯痒くてもどかしくて嫌になる

言ってしまえば楽になる

そんなことは分かってる

臆病者のラプソディー

「食事に行きませんか?」と

気軽に誘えたなら

どれだけ楽だろうか

ため息一つ

紙に書いたアドレスを

今日も渡せないまま

切ない気持ちはビター

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