穷则思变ーー人生の替え時と、暗闇のトンネル
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【穷则思变】
ピンイン:qióng zé sī biàn
意味:追い込まれ、切羽詰まれば何とか現状を変えようと思うようになること。
『人生の替え時と、暗闇のトンネル』
今までの人生において、私はいくつもの「ターニングポイント」を経てきたが、いつも決まって一連の出来事が相次いで起こっていた。
私はこれらの現象をまとめて「人生の替え時」と呼んでいるが、前兆としてはまず
「もうこれ以上吸収すべきものがない」
という感覚が出てくることだ。
いま身を置いている環境から、自分を根本的に成長させる要素を見出せなくなる。
多かれ少なかれ何かしらを学んだとしても、結局当たり障りのない認知が増えていくだけで、本質的には足踏みのまま。
目標というものを一応設定し、取り敢えずは頑張り続けるものの、「その先」のイメージが全く湧かない。
惰性に任せて動き続けている、そんな感じだ。
このような無気力な状態に突入し潮時になると、次は何かしら「事件」が起こる。
例えばー-
家庭の事情で引っ越しをしなければならなくなったり、
自分の生活で大きな役割を果たしていたキーパーソンと、突如別れなければならなかったり、
予想外の展開で、今まで築き上げた全てが壊され、一からやり直せざるを得なくなったり。
自分の意志とは無関係に、強制的に次のステージへの扉が現れる。
まるで見えない力が、「変えよう、新しくなろう」と働きかけてくるようだ。
しばらくの間は、未知の世界に怯えて、なかなか扉を開こうとしない。
「現状維持でも、工夫次第で惰性から抜けられる術があるはず」と、あれこれ模索し、なんとか今の環境に留まろうと手を尽くす。
でもこれが面白い程失敗する。
何をやっても、いくらチャレンジしても、上手くいかないのだ。
そこでようやく、自分が行くべき道は扉の向こうにあることを認め、渋々と腰を上げる。
扉を押し開けると、まず目に入るのが真っ暗なトンネルだ。
何も見えない、道しるべもない。
そんな寒くて不気味で、寂しいトンネルを抜けてようやく新世界にたどり着けるのだが、この過程が途轍もなく苦痛なのだ。
一歩踏み出すと、もう引き返しようがない。
「なんで扉を開けちゃったんだろう」と、無数の後悔との闘いが始まる。
どこまでたどり着いたのかも知らない。
目的地まで後どれぐらい残っているのかも分からない。
でも進むしかない。
進むことだけが、トンネルを抜け出す唯一の方法なのだ。
遠くまで歩けば歩くほど、未練がのしかかって身体がどんどん重くなる。
心が空っぽになるのはとても悲しい。けれども、きっぱり過去を振り解かなければ窒息してしまう。
もつれた全てを切って、捨てて、けじめをつけて。
絶対に後戻りはしないと、決意を固めて。
そうしていくうちに、何かへの期待が生まれて、駆け足になってー-
ある日、とっくのとうに「新世界」に辿り着いたことにやっと気付く。
トンネルの中で自分が生まれ変わっていて、「新世界」で活躍するのにふさわしい器に練られていたことも知る。
全ては、新しい人生を迎えるのに必要不可欠な過程だったのだと悟る。
私はこれまで何回もの「ターニングポイント」を迎えてきた。
相変わらず扉が出現すると怯えてしまうし、可能であればトンネルの中には入りたくない。
でも今はもう、昔ほど躊躇しなくなった。
「人生の替え時」が来たと分かれば、迷わず扉を開くようになった。
怖がっても良い。
でも決して後悔をしてはいけない。
悲しくても良い。
でも決して未来を期待するのを止めてはならない。
この2つの掟をしっかり持つこと。
そうすれば、何度でも生まれ変わることが出来る。
新しい私になって、生きていける。