#34 仕事量が少な過ぎて、会社にクレームを入れた話
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入社してはや一ヶ月。
早々に私は、このホワイト、ホワイト過ぎる会社にクレームを入れてしまった。
内容は以下の通りである:
「仕事量が給料に見合わない。
働きに釣り合わない報酬をいただくのは心苦しいので、どうかもっと仕事を振り分けて欲しい」
これを読んで「ついに竹子の頭がおかしくなったか」と、読者の皆さんは思われてしまったかもしれない(まぁ、私は元々どこか抜けているので、事実として何も変わらないのだが)。
ただ一度経験してみれば分かる。
「やることが無い」という状態は、「楽そう」という予想に反して、実に辛く苦痛であることを。
意外かもしれないが、朝から晩まで業務を何一つ任されることなく過ごさなきゃならないストレスは、日々忙殺されそうな仕事量を抱えるストレスに負けないぐらい大きい。
実際、前職で数ヶ月にわたる閑散期に襲われた時、私は何もかもがおかしくなりそうで、仕事中にめそめそ泣き出すほどだっだーー
事務室のデスクの前に座っている間は私事を許さないとされている上に、
本来期待されているであろう「会社にとっての価値を生み出す作業」も与えられていない。
こういった板挟みの状態に、ひたすら削られていく。
それが私を精神崩壊寸前まで追いやったのだ。
私は今の会社ではまだ新入社員だとはいえ、中途採用で入った者だ。
よって、給料もそれなりにもらえる。
「入社したての頃は仕事が少ないのが普通」と周りが認識している上で、且つこれでもなお報酬が全額もらえるのはラッキーかもしれないが、前職のトラウマが私の危機意識を高めた。
居ても立っても居られないのだ。
お金がもらえるとはいえ、自分の時間を、命を虚しさで埋める。
そんな毎日で良いのか?
気楽とはいえ、闘志を失い朦朧とした精神状態で日々を放浪する。
そんな人生で良いのか?
私の答えは「ノー」だ。
だから、早いうちに冒頭のクレームを入れた。
もっと仕事が欲しい。
確かにそれはメインテーマであったが、何よりも暇な時に堂々と「自己啓発」というグレーゾーンに逃げ込める、そんな環境を作っておきたいという算段もあった。
「私事をしているのは決して本意ではありません。
ただ、業務の少なさの故、仕方なくこうしているのです」
と、上司に訴える為である。
これは、前職での経験を活かした計らいである。
当時の「閑散期」を乗り越えられたのも、上手く仕事に見せつけた「自己啓発」をやり遂げたからだ。
語学勉強、プログラミング学習、動画編集……
日報には「新プロジェクト開発」という項目を作って、作業時間を記録した。
上司も目をつぶってくれた。
いくら「暇な時は自分で仕事を探せ」といえども、必ず限界があることを知っていたようで、勤務時間中にこそこそと習い事をしている私を見逃してくれた。
その後、鍛え上げられた語学は通訳・翻訳業務で、プログラミングの知識はホームページ作りで、動画編集は社内報制作で大いに力を発揮した。
そこでようやく、日報内の「新プロジェクト開発」が本物になった。
更に数年後、これらのスキルは今の社長に気に入られる。
将来の生活の為にも、私は自分の時間の対価が「お金」だけで終わらせたくないのだ。
📚今無駄にしているその時間も、命を削って過ごしている
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