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#高校生

愛してるってさ、わかんないよ

2022-01-28

   私ずっと彼に生きるの手伝っててもらってたんだった
   よく考えてみたら、私は彼がいないとお風呂に入ることもできない。朝起きることも、歯を磨くことも。

 私の生活の軸は彼だ。
 彼のツイートの通知がくる。「今日は22時から」。私はそれを見てやっと、彼の配信に間に合うようにお風呂に入って歯を磨く。
かわいい、かっこいい、イケメン、すき、愛してる、少ない語彙が私の口から

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心中

 アンコール、彼が飛んだ。気づいたら、私は死にたくなっていた。彼の身体が宙に浮く。ぷつんと周りの音が途切れる。光は彼の方だけを向いていた。私はそれをみて、なぜかすごく死にたくなって、私がずっとやりたかったことを今目の前で彼がやってくれているように思えてきて、気がついたら私は彼と一緒に飛んでいた。彼と私はあの瞬間つながっていたんだと思う。

 「一緒に死のうぜ!!!」
 彼が勢い任せに言ったその言葉

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推し、燃ゆ を読んだ。

推し、燃ゆ を読んだ。

2021-10-14

 全身にビリリと衝動が走った。
 ライブのあの振動、汗、反響する声、やけに大きいバンドの音、ペンライトの鮮やかさ、声、声、笑顔、片方だけ上がる口角、ふざけたじゃれ合い、ジャンプして飛び散る汗、張り付く前髪、血管、毛、スポットライトで余計白い肌、細い指、汗、銀歯、笑顔、笑顔、えがお、ぜんぶ思い出した。
 彼。
 愛おしくて守りたくて最強の可愛い。

 今朝、駅のトイレで手の甲

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君が嫌いな生玉ねぎ、私が美味しく食べてあげる

君が嫌いな生玉ねぎ、私が美味しく食べてあげる

 私にはずっと前から好きな人がいて、彼は生玉ねぎが嫌いだ。
あの少し辛いのと、サラダの中に不意にでてくる感じが嫌いらしい。私にはわからないけれど。

 だから、私は彼の目の前でとびっきり美味しく生玉ねぎを食べたい。生玉ねぎの美味しさがわからないなんて!みたいな顔で食べてやりたい。
 彼がそんな私を見て、生玉ねぎを少し好きになってくれたらいい。それで、あわよくば、生玉ねぎと一緒に私のことも好きになっ

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