【映画所感】 ビーキーパー ※ネタバレ注意
疾風怒濤のブチ上がり、頭からっぽの105分!
ジェイソン・ステイサムが、徹頭徹尾アクションに全フリすることで、AAAクラスの“活劇”が誕生。
華麗な格闘術の見本市は、肉体表現の限界をさらに押上げ、上書きしていく。
“ナメてた相手が、実は殺人マシーンだった”の典型であり、原点のような本作は、極限まで贅肉を削ぎ落とし「主人公の背景、事件の真相、伏線回収…」など、「なんスカ、それ。喰うたらうまいんでっか?」的な軽薄さで突き進む。
とにかく“脳筋ミツバチ男”の常軌を逸した勇猛果敢ぶりが、“文系インドア派”にはすこぶる眩しい。
内容よりもテンポ重視の演出は、観客の思考を弛緩させ、過剰にアドレナリンを放出させる。
奇しくも、今月からテレビ東京系で放映開始になったアニメ『SAKAMOTO DAYS』。
引退した伝説の殺し屋・坂本太郎のキレッキレの動きに、実写で肉薄するという暴挙を『ビーキーパー』は体現する。
さらには、厳重警戒態勢の大統領私邸に丸腰で侵入、楽勝で米国トップに対峙してしまうなど、やっていることは地上最強の生物・範馬勇次郎と何ら変わらない。
ちがうことといえば、激闘の中でもちゃんとジャケットを羽織り、ノーネクタイではあるが、最低限のドレスコードは守っていることくらいか。
マナーをわきまえる憎めない男、ジェイソン!
他にも、後任ビーキーパーのサイコパスすぎる攻撃に、冷静に対処する前任ビーキーパーのジェイソン。
すっかり好々爺になってしまったジェレミー・アイアンズを一蹴する場面など、全力疾走のストーリーの中にも見せ場は盛りだくさん。
名優・ジェレミー・アイアンズの無駄遣いがたまらない。
清々しいほどの勧善懲悪の話は、安易に「闇バイト」に向かう若者の啓発にもなり得るものだった。
道徳の授業で上映しても良いくらいなのだ。
そして、目的を果たし静かに島を離れるジェイソン。潜行していった先に見据えるのは、深海に潜む超巨大ザメかもしれない…