【映画所感】 ゴジラ×コング 新たなる帝国 ※ネタバレ注意
笑っちゃうほどのご都合主義
「いい意味で」とは、あえて付け加えない。
2014年のハリウッド版『GODZILLA ゴジラ』からつづく、モンスターヴァースシリーズは、もう完全に東宝の日本版とは一線を画すものになった。
ファミリー向けの娯楽作品と、完全なるシリアス路線。
とくに本作は、1960年代から70年代にかけて粗製濫造された、所謂子ども向けの“プロレス・ゴジラ”を、そのまま踏襲しているかのよう。
前作『ゴジラvs.コング』のクライマックスは、2対1の変則マッチ(ゴジラ&コングvs.メカゴジラ)だったが、本作は2対2のタッグマッチで雌雄を決する。
ゴジラ・コング組のセコンドについたモスラが、レフェリーの目を盗んでちょいちょい乱入してくるデジャ・ヴな試合展開。
最後は敵の仲間割れから、ひとりが寝返ってのフォール勝ち。
当然ながらメインイベントまでには、モブ怪獣たちがそれなりに出てきては、それなりに戦って、あっけなく散っていく。
シナプスのすみっこから、小学校3年生のとき父親に連れられて観に行った『メカゴジラの逆襲』(1975)の思い出がじわ〜っと蘇ってくる。
「今、自分は何を観せられているんだ?」
根強いファンがいるギャレス・エドワーズ監督の「ギャレゴジ」はもちろんのこと、ローランド・エメリッヒ版の『GODZILLA/ゴジラ』(1998)ですら、こんな気持ちにはならなかった。
同じ、プロレス映画を観るならば、現在公開中の『アイアンクロー』にすべき。
伝説のレスラー、フリッツ・フォン・エリックを長とする、プロレス一家「フォン・エリック・ファミリー」の血塗られた歴史の前では、ゴジラもコングも、まだまだ前座あつかいだ。