見出し画像

井筒和幸監督『パッチギ!』在日朝鮮人を描いた社会派コメディ



<作品情報>

1960年代の京都を舞台に、日本人と在日朝鮮人の高校生たちの恋と友情を描いた青春群像劇。松山猛の自伝的小説「少年Mのイムジン河」を原作に、「岸和田少年愚連隊」「ゲロッパ!」の井筒和幸が監督・脚本を手がけた。1968年、京都。府立東高校2年生の松山康介は担任教師に命じられ、日頃から生徒同士の争いが絶えない朝鮮高校へサッカーの練習試合を申し込みに行くことに。友人の紀男とともに嫌々ながら朝鮮高校を訪れた康介は、音楽室でフルートを吹いていたキョンジャに一目ぼれする。しかし彼女は、朝鮮高校の番長アンソンの妹だった。キョンジャと親しくなりたい一心で韓国語を必死に勉強し、彼女が演奏していた曲「イムジン河」を覚えるため楽器店でギターを購入する康介だったが……。康介を塩谷瞬、キョンジャを沢尻エリカ、アンソンを高岡蒼佑がそれぞれ演じた。

2004年製作/117分/日本
配給:シネカノン
劇場公開日:2005年1月22日

https://eiga.com/movie/41436/

<作品評価>

65点(100点満点)
オススメ度 ★★★☆☆

<短評>

おいしい水
井筒作品は初めてです。ヤンキーものが得意なのかな?というなんとなくのイメージで挑んだのですが、まあ概ね合っていました。しかしヤンキーものに朝鮮学校という存在を盛り込んだことで社会派として一本筋が通った作品になっています。
在日朝鮮人の主要キャストは沢尻エリカ、高岡蒼佑など日本人キャストであり、朝鮮語も日本訛りが強いといいます。そこはちょっとどうなのかとは思います。あくまで日本にいる朝鮮人を描いたとしても今なら当事者キャスティングができそうです。
最初は小出恵介が主人公のようなのですが、中盤以降画面に一切出てこなくなるのが面白かったです。
終盤はヤンキー軍団の喧嘩、「イムジン河」を歌う康介、桃子の出産という三つが同時並行で描かれ怒涛の勢いです。それを感動的に仕上げたのは見事ですね。
ただし思うところもあります。一番引っかかったのは桃子の出産です。安易に妊娠させてしまったアンソンは責任をとるのが当然であり、それを「感動的」に仕上げてしまっているのはどうなんだろうと思います。また担任の愛人?であるロシアのセックスワーカーもひたすらコメディリリーフとしての役割しか担わせていないのは無責任じゃないかとも思います。
全体に女性の描き方には問題があるとは思います。手放しで褒められないですが、まんまと泣かせられたのは確かですし、青春映画としての勢いがあります。この年なら『リンダ リンダ リンダ』や『カナリア』の方が僕は好きですが、いい映画だとは思います。

吉原
バキ童チャンネルで何度も話題にされていた童貞映画についてですが、ぐんぴぃさんが真似していた「放送も、録音も、禁じられとるやぞ!!」のシーンは、もともと笑えるシーンではなかったものの、なぜか爆笑してしまいました。
最初はコメディ映画だと思っていたのですが、意外にも社会派な内容で驚きました。ただ、歌を通じて朝鮮と日本を繋ごうとするテーマには感動しましたし、とても興味深い内容でした。
また、ケンコバさんの高校生役には流石に無理があると感じましたが、観ているうちに意外と気にならなくなりました。それから、坂口拓さんが出演していたことにも驚きました。彼が登場すると、映画に少し緊張感が出たように思います。

<おわりに>

 井筒監督らしいアクションコメディでありながら社会派でもあるという作品です。

<私たちについて>

 映画好き4人による「全部みる」プロジェクトは、映画の可能性を信じ、何かを達成したいという思いで集まったものです。詳しくは↓


いいなと思ったら応援しよう!