クロエ・ジャオ監督『ノマドランド』広大なサウスダコタとノマドたち
<作品情報>
<作品評価>
80点(100点満点)
オススメ度 ★★★☆☆
<短評>
上村
フランシス・マクドーマンドを惜しみなく活かした作品で、しみじみと心に染み入ります。ロケーションの選び方、風景や人物の映し方が完璧で、この上なく叙情的で美しいのです。特に素晴らしいと思ったのは、普通のセリフで進めるドラマ部分と音楽と映像を駆使した詩的な部分の切り替えとテンポでした。皆哀しみを抱えたノマドの人々とフランシス・マクドーマンドの何か屹立しているような、でもどこかに亡き夫と街への愛情を隠しているような佇まいが最高でした。
クマガイ
なんとなく共感してしまいました。
一度でも破滅というか終わりを迎えると、安寧という日常が怖くなるものです。
安寧の先に待つのは破滅なのだから。
だからそこに逆行してでも、大自然という究極の自由に生きる。
ここまで見易いドキュメンタリー(?)は早々ないと思います。
また旅がしたくなりました。
吉原
2009年のリーマンショックで家を失い放浪の生活を選んだノマドたち。「ダンス・ウィズ・ウルヴス」でも描かれた広大なサウスダコタの風景が美しいことはもちろん、己の状況に屈することなく、他人と寄り添いながら強く生きる彼らの自由な生活に尊敬と共に、微かに羨ましさすら感じます。主演のフランシス・マクドーマンドは大女優としてのオーラを消し、親しみやすいが、どこか悲しみに満ちた「普通の人」を演じることで、そんな「普通の人」がいつ同じような状況に陥ってもおかしくないというメッセージを伝えることに成功していました。
<おわりに>
日雇いで生きるノマドと呼ばれる高齢労働者たちの悲哀をこの上なく詩的に描いています。広大な自然も見ものでしょう。
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