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アディナ・ピンティリエ監督『タッチ・ミー・ノット ローラと秘密のカウンセリング』性をめぐる実験的作品



<作品情報>

ルーマニア出身の新人監督アディナ・ピンティリエがマイノリティの人々の性生活を虚実入り混ぜながら赤裸々に描き、長編初監督作にして第68回ベルリン国際映画祭の金熊賞(最高賞)と最優秀新人賞をダブル受賞した作品。父親の介護で通院する日々を送るローラは、自身も人に触れられることに拒否反応を起こす精神的な障がいを抱えていた。ある日、ローラは病院で患者同士がカウンセリングする不思議な療養を目にする。無毛症のトーマス、車椅子のクリスチャンら様々な症状を抱える人々が、互いの身体に触れ合うことで自分を見つめていく。自分と同じような孤独感を持つトーマスにひかれたローラは、街で彼に導かれるように秘密のナイトクラブに入り、そこで欲望のままに癒やし合う群衆を目撃する。主人公ローラを「お家に帰りたい」のローラ・ベンソン、彼女が思いを寄せるトーマスを「氷の国のノイ」のトーマス・レマルキスが演じる。

2018年製作/125分/R18+/ルーマニア・ドイツ・チェコ・ブルガリア・フランス合作
原題または英題:Touch Me Not
配給:ニコニコフィルム
劇場公開日:2020年7月4日

https://eiga.com/movie/88731/

<作品評価>

45点(100点満点)
オススメ度 ★☆☆☆☆

<短評>

おいしい水
これまではドキュメンタリーと短編映画を撮ってきた監督で、この作品もドキュメンタリーとの境目が曖昧になっています。全身脱毛症の俳優やトランスジェンダーのセックスワーカーなど登場人物たちはそのまま、しかも名前も同じに登場してきます。
演じる、というより自分自身を見つめ直しているような作品で、白を基調とした無機質な美術により観客もそこに投影し、自らの性と生に向き合うことを余儀なくされます。
話という話はないので映画としては退屈なのですが、何か心に残るような…監督が今後どんな映画を撮るのか楽しみではあります。

吉原
この映画は非常に難しい…
マイノリティたちの「生」と「性」について、ドキュメンタリータッチで描かれた実験的な作品であり、彼らへのセラピーの様子が延々と続くような印象を受けます。
生きる上で切り離すことのできない「性」というテーマを、マイノリティの視点から描くことで、観客に「生きること」を見つめ直す機会を与えることを狙っているのかもしれません。
興味深い作品であることに間違いはありませんが、誰にでも勧められる作品ではないと感じます。

<おわりに>

 観る人を選ぶ作品でしょう。ドキュメンタリーとフィクションの境目を曖昧にする独特な作品です。

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