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ジュリア・デュクルノー監督『TITANE/チタン』歪んだ劣情の終着とは…


<作品情報>

「RAW 少女のめざめ」で鮮烈なデビューを飾ったフランスのジュリア・デュクルノー監督の長編第2作。頭にチタンを埋め込まれた主人公がたどる数奇な運命を描き、2021年・第74回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールに輝いた。幼少時に交通事故に遭い、頭蓋骨にチタンプレートを埋め込まれたアレクシア。それ以来、彼女は車に対して異常なほどの執着心を抱き、危険な衝動に駆られるようになってしまう。自身の犯した罪により行き場を失ったアレクシアは、消防士ヴィンセントと出会う。ヴィンセントは10年前に息子が行方不明となり、現在はひとり孤独に暮らしていた。2人は奇妙な共同生活を始めるが、アレクシアの体には重大な秘密があった。ヴィンセント役に「ティエリー・トグルドーの憂鬱」のバンサン・ランドン。

2021年製作/108分/R15+/フランス・ベルギー合作
原題:Titane
配給:ギャガ
劇場公開日:2022年4月1日

https://eiga.com/movie/95183/

<作品評価>

70点(100点満点)
オススメ度 ★★☆☆☆ 

<短評>

上村
身体の異物化が終着点だったこれまでに対して本作はより深くその先に進めています。つまり自分が異物化するのみならず新たなる進化した人間を生み出すのです。『2001年宇宙の旅』におけるスターチャイルドのように。
ジュリア・ドゥクルノーは「愛の物語」だと説いています。それはヴァンサンとヒロインの疑似親子的な愛のみならず、あらゆる性を含み、超越した愛のように思えます。
この作品において最も重要なのはラストにヒロインが生み出す新しい人間の造形。あまりにありえないと監督も危惧していたように漫画のようになってしまいます。それを絶妙な造形を生み出してみせています。もうお見事としか言いようがない。こんなに高いハードルを軽々とクリアしてみせるジュリア・ドゥクルノー恐るべし。

吉原
なかなかの曲者映画でした。事故で頭に金属を埋め込むこととなった少女。大人になって彼女の体に変化が現れてくる… 序盤からぶっ飛びすぎていてだんだんイライラしてくるし倫理観が欠如しているのでその手の映画が苦手な方にはおすすめできかねます。個人的にもそこは評価できませんでした。いろんな解釈があるようだけど、主人公の女性の社会性と物語の結末にはあまり関連性がないように感じました。色んな人の意見を聞いて感想を共有したくなる様な映画ではありましたが、私自身としてはあまり好きな映画ではありませんでした。

<おわりに>

 かなり好みが分かれる、まさに「クセモノ」映画ですね。レビュアー二人でもキレイに好き派と嫌い派に分かれました。

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