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ジッロ・ポンテコルボ監督『アルジェの戦い』リアリティあふれる闘争物語



<作品情報>

1954年から62年にかけてフランスの支配下にあったアルジェリアで起こった独立戦争を描き、66年のベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞した戦争映画の名作。ジャーナリスト出身のジッロ・ポンテコルボ監督が、目撃者や当事者の証言、残された記録文書をもとに、戦争の実体をドキュメンタリータッチでリアルに再現。アルジェリア市民8万人が撮影に協力し、主要キャストには実戦経験者を含む一般人も多数参加。戦車、武器類はアルジェリア軍より調達された。アルジェリアの首都アルジェのカスバでオールロケを敢行し、5年の歳月をかけて製作。エンニオ・モリコーネが音楽を担当している。ベネチア映画祭でグランプリにあたる金獅子賞を受賞した際、現地入りしていたフランス代表団が「反仏映画」として反発し、フランソワ・トリュフォーを除く全員が会場を退席したという逸話が残されている。67年に日本初公開。2016年に、オリジナル言語版のデジタルリマスター版が公開。

1966年製作/121分/イタリア・アルジェリア合作
原題:La Battaglia Di Algeri
配給:コピアポア・フィルム
劇場公開日:2016年10月8日
その他の公開日:1967年2月25日(日本初公開)

https://eiga.com/movie/42241/

<作品評価>

75点(100点満点)
オススメ度 ★★★☆☆

<短評>

おいしい水
アルジェリアの独立をドキュメンタリー・タッチで描いた異色作です。ドスンと重い内容ながら、的確に地下組織をめぐるフランス軍隊との攻防を描ききっています。
展開も早く飽きないです。ヨーロッパ人地区にテロを起こして捕まっていくというのが繰り返されるのですが、テンポの良さもありグイグイと引き寄せられます。
独立までの道のりってこうなんだと思わず納得させられる作品でした。軍隊の指揮官の目線もあり、単純な悪役というより狡猾な敵という描かれ方が誠実でした。
また、地下組織の構成も非常に勉強になります。戦略的に考えをめぐらせないと失敗するんだなぁ、というのを最後の独立で実感しました。

吉原
力強さを感じる作品でした。抵抗組織の面々がフランス側の人間を襲うシーンはクライムサスペンスの様な雰囲気があったし、爆弾を使用してのテロのシーンは1966年の作品とは思えないほど迫力があり、とても映画とは思えませんでした。
俳優陣の演技も自然で、途中途中で意識しないと演技であることを忘れてしまう程でした。何よりこの闘争が終わって4年しか経っていないホットな時期に制作されたことがその要因として挙げられると思います。
ただ作品自体のテンポがそれほど良いわけではないことやモリコーネの音楽がそこまで印象的ではないということが私の正直な感想でもあります。

<おわりに>

 アルジェリア独立戦争をドキュメンタリータッチで描いた異色作です。今の時代にも十分通用する底力のある作品です。

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