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ロベルト・ロッセリーニ監督『無防備都市』ネオ・レアリズモの記念碑的反戦ドラマ



<作品情報>

ロベルト・ロッセリーニがナチスドイツに抵抗するレジスタンスの戦いを描き、イタリア・ネオレアリズモの原点にして代表作となった記念碑的作品。第2次世界大戦末期。レジスタンスの指導者マンフレーディは資金調達のため、ナチス支配下にあるローマへやって来る。ゲシュタポに追われているマンフレーディは同志フランチェスコの家に匿ってもらい、神父ドン・ピエトロに連絡役を頼む。フランチェスコとピーナの結婚式の日、彼らはゲシュタポに襲われ、マンフレーディは逃げ延びるが……。若き日のフェデリコ・フェリーニが脚本に参加。1946年・第1回カンヌ国際映画祭で、当時の最高賞にあたるグランプリに輝いた。

1945年製作/103分/イタリア
原題または英題:Roma citta aperta
配給:イタリフィルム
劇場公開日:1950年11月7日

https://eiga.com/movie/50017/

<作品評価>

70点(100点満点)
オススメ度 ★★★☆☆

<短評>

おいしい水
共同で脚色をフェリーニが手掛けた作品です。
ドイツ占領下のイタリアでレジスタンスを描く作品です。アンナ・マニャーニはそんなに重要な役どころではないです。
リアリスティックに描かれるレジスタンス活動とナチスの拷問、そこに一人ユーモアを添えるのがレジスタンスに協力する神父です。
終盤ドイツ将校が「我々のやっていることは戦争ではなく虐殺だ」と言うのがドキッとします。「優れた民族」などあるものかと思ってしまいます。
鉄格子越しにみる子供たち、神父やレジスタンスが殺されてもあの子たちが引き継いでいくだろうことを示唆していますね。見事な幕引きです。
ドイツ将校の女とアンナ・マニャーニの間で同性愛的関係が示唆されているのも興味深いです。

吉原
本作はナチス占領時代のイタリアのレジスタンスを描いた意欲作です。とにかくリアリティにこだわっている印象を受けます。時々、映像が飛んだり、横に揺れたりするところは当時のフィルムの質の問題かもしれませんが、記録映像のような雰囲気が出ていて味わいがあります。
イタリア人であるロッセリーニが監督していることもあり、ナチス将校がこの戦争に対する本音を吐露するシーンには意外性がありました。どの人種が優れているというものではなく、敵として描かれているナチスの中にも良い人がいるというメッセージが込められているのでしょう(元々は同じ側にいたのですが…)。
DVDのパッケージにもなっている、ナチスに連れて行かれた男性を追いかける女性が射殺されるシーンや、ナチスから拷問を受けるシーン、そしてラストの司教が射殺されるシーンは、どれも人の死を描いたもので悲しみに満ちていますが、「抵抗」という名の強さを感じました。

<おわりに>

 イタリアのネオ・レアリズモの記念碑的反戦ドラマです。悲痛な戦争への思いを見事に表現した作品と言えます。

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