【世界三大映画祭】2024年グランプリ総括
『ANORA アノーラ』
- カンヌ国際映画祭 パルム・ドール
【作品評価】
90点(100点満点)
オススメ度 ★★★★★
【総評】
本作には、期待を超えてくる面白さがありました。
ショット・脚本・演技すべてを取っても、非常にハイレベルな作品だと感じます。
その中でも特筆すべきは脚本の巧さだと思います。
とにかく勢いが尋常じゃない。
随所に仕込まれるギャグ要素には終始捧腹絶倒でした。
とりわけ中盤はもはやシチュエーションコメディですね。
英語映画でここまで笑かされる作品はこれが最初で最後な気がします。
『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』
- ヴェネツィア国際映画祭 金獅子賞
【作品評価】
70点(100点満点)
オススメ度 ★★★☆☆
【総評】
非常によかったです。
アルモドバルはどうもしっくりこない作家なのですが、これまでで一番よかったかもしれません。個人的にはアルモドバルのベストです。
初の英語映画ということで期待半分不安半分でしたが、自分が日本人ということもありそこは違和感なく受け入れられました。
ティルダ・スウィントンとジュリアン・ムーアの演技が実に見事です。どちらも演技巧者ということは周知の事実ですが、その期待に十分応える名演を見せていました。
安楽死を望むスウィントン演じるマーサ、戸惑いながらも手助けしようとするイングリッド、両者の心の機微を豊かな色彩とともに描ききっていました。
『ダホメ』
- ベルリン国際映画祭 金熊賞
【作品評価】
80点(100点満点)
オススメ度 ★★★★☆
【総評】
ドキュメンタリーとして良く出来た作品です。
かつてフランスに侵略され、そして略奪されたダホメ王国の美術品の返還。
それに伴い、揺れ動く国民のアイデンティティを変化を、美術品の視点から描いた一風変わったドキュメンタリー映画です。
現代人たちが語る有形、そして無形のアイデンティティの議論がありましたが、これらも踏まえると「そもそもどのように在ったのか」と考えさせられるものがあります。
歴史は未完成。今後も続き、変化していく。
過去の産物は、無限の象徴。
69分という短い尺ながらも、とてつもない情報量が詰まっている、非常に考察のしがいがある作品だと思います。
<私たちについて>
映画好き4人による「全部みる」プロジェクトは、映画の可能性を信じ、何かを達成したいという思いで集まったものです。詳しくは↓