黒澤明監督『生きる』君たちはどう生きるか
<作品情報>
<作品評価>
75点(100点満点)
オススメ度 ★★★★☆
<短評>
おいしい水
まんまと泣かされましたが、やや感傷的すぎるのが気になりました。志村喬の芝居も素晴らしいですが作り込みすぎな気がします。
「役所では何もしないのが出生の道」というのが痛烈です。役所に限らず日本社会ってそういうものな気がします。
一番理解していないのが身内、というのは小津の『東京物語』を彷彿とさせます。やっぱり家族は近いが故に肝心なことは言えないのかもしれないですね。
中盤の展開は驚きました。ややトリッキーな構成で、そこを上手く魅せるのが流石黒澤明でした。
セリフではなく志村喬のアップに黒澤は賭けたのです。それは正解だったと思います。ヤクザ相手になんとも言えない表情を向けるシーンは泣きそうになりました。
ただ、肝心の部分以外でも常に志村喬は泣きそうな、弱い表情なのでイマイチメリハリがないというか。まあ人間はそういうもの、といえばそうなのかもですが…
吉原
自身の癌を知り、ただただ仕事のために生きてきた自分を省みて自分の生きる意味を公園の整備に向けるという物語。
所謂、お役所的な仕事に対する批判が含まれておりどんな仕事にもやはり人間味が必要だと思いました。
もはや死んだも同然の渡邊を演じた志村喬さんの演技は本当にすごいです。「その」や「つまり」の言い回しはもはや日常生活にカメラを向けたかのようで非常にリアルでした。本作が公開されて70年経った2022年にイギリスでリメイク版が制作されています。オリジナル140分に対し102分とかなり短くなり、重要な部分はしっかりと残してあるので、オリジナルに対するリスペクトを感じる作品ですが、やはりオリジナルには敵わないので先に鑑賞するならオリジナルをお勧めしたいです。
<おわりに>
最近リメイクもされた黒澤明の名作です。ややトリッキーな構成ながら生きることを正面から考えさせられる作品になっています。
<私たちについて>
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