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【第37回東京国際映画祭】片山慎三監督『雨の中の慾情』度肝抜かれるエロティック活劇



<作品情報>

『さがす』(22)「ガンニバル」(22)の片山慎三監督がつげ義春のシュルレアリスム作品「雨の中の慾情」を原作に創出した独創的で数奇なラブスト―リー。全く先の読めない規格外のストーリーテリングで、ふたりの男とひとりの女の切なくも激しい性愛と情愛を描き切る。日本×台湾の共同制作作品であり、昭和初期の日本を感じさせるレトロな町並みが多い台湾中部の嘉義市にてオールロケを敢行した情緒溢れる映像世界も本作の大きな魅力のひとつ。ラブストーリーを軸に、スリラー、ホラー、コメディ、アクション、ヒューマンドラマとジャンルを超越して、観客を日本映画の枠に収まらない、かつてない映画体験へと叩き込む異端の衝撃作。

https://2024.tiff-jp.net/ja/lineup/film/37002CMP08

<作品評価>

75点(100点満点)
オススメ度 ★★★☆☆

<短評>

おいしい水
よくこんなの映像化したなと感心する意欲作です。片山慎三らしいエグい描写が満載です。鈴木清順的なエロティックでカオスな世界観がいいですね。
一方で、二重構造が中盤明かされるのですが、そこにイマイチ切実さが感じられなかったです。虚構で遊んでいるように思え、上滑りしている感は否めません。
成田凌をはじめ演者は好演していますが、それにしてはキレイすぎるような。もっと汚れた役者さんを使った方がリアリティが出たのではないかなと思わざるを得なかったです。
片山慎三というよりつげ義春の色が濃く出た作品です。監督は上手く映像化しているとは思いますが、トータルでは中の上くらいの印象に留まってしまいました。意欲作だとは思うがあまりしっくり来なかったです。

クマガイ
意欲作にして野心作。
漫画家の青年の一風変わった珍道中を描いた怪作です。
つげ義春を読んだことがないのですが、とにかく尖がってますね。
そして、国際共同制作なだけあって、かけられている予算が本当にえぐいです。
随所からそれをひしひしと感じさせられる超特急映画でした。
最初はさながら『ボボボーボ・ボーボボ』みたいな勢いで物語が進むというか、見ていて疲れてくるレベルでシュールギャグがてんこ盛りになっていました。
この時点から、とりわけ昭和の舞台セットなどのディティールの数々、そして俯瞰のショット等が目を引きます。 後半からは怒涛の展開の連続ですね。
あれ?見ている映画が変わったのか?と思えるくらい、急にジャンルが変わります。
『ボーボボ』を見ていたつもりが、鑑賞後の感慨はポン・ジュノ映画を見終わった時のような気分になる。
本当に摩訶不思議な映画でした。

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